進行膵癌でエルロチニブの投与を受けた患者では、リン酸化ERK(pERK)の発現が全生存期間(OS)に影響し、p53の状態が無増悪生存期間(PFS)および発疹の発現と相関する可能性が、フェーズ3のランダム化試験AIO-PK0104のトランスレーショナル・サブグループ解析から明らかになった。7月3日から6日までスペイン・バルセロナで開催されている第15回世界消化器癌学会(WCGC2013)で、ドイツLudwig-Maximilians University of MunichのStefan Boeck氏が発表した。

 進行膵癌患者281人を対象としたAIO-PK0104試験では、ゲムシタビン+エルロチニブ→カぺシタビン群とカぺシタビン+エルロチニブ→ゲムシタビン群の治療継続期間はともに4.2カ月、OSはそれぞれ6.2カ月と6.9カ月で、差がなかったことが報告された。その後、KRAS野生型と変異型の患者のOSはそれぞれ7.9カ月と5.7カ月となり、有意差がみられたことも発表された。

 今回の解析では、AIO-PK0104試験の対象について、アーカイブのホルマリン固定パラフィン包埋組織を用いて免疫組織化学染色(IHC)を行い、pERK、リン酸化AKT(pAKT)、p53の発現を評価した。細胞質型と核の発現を検討するIHCスコアリングシステムを開発し、pERKとpAKTを0-12点で評価した。癌抑制遺伝子であるp53の発現はカテゴリー変数として評価した。さらにレトロスペクティブな仮説生成型のサブグループ解析において、バイオマーカーのデータと有効性の評価項目、発疹との相関を検討した。

 解析の対象は、ゲムシタビン+エルロチニブ→カぺシタビン群113人(年齢中央値65歳、男性57%)、カぺシタビン+エルロチニブ→ゲムシタビン群93人(同64歳、62%)となった。OS中央値はそれぞれ5.7カ月と6.7カ月だった(p=0.57)。

 pERKは153人、pAKTは35人、p53は50人で解析が行われた。これらの3つのマーカーは、いずれもベースラインの患者背景と相関していなかった。

 pERKを評価した153人中、98人(64%)がpERKhigh(6-12点)、55人(36%)がpERKlow(0-5点)に分類された。pERKの発現は、KRAS、EGFR(IHC)、EGFR(FISH)のいずれとも相関していなかった。

 OS中央値は、pERKhighの患者で5.7カ月、pERKlowの患者で6.2カ月となり、ハザード比は1.29(95%信頼区間:0.90-1.83)だった(p=0.16)。

 pERKを連続変数として解析すると、pERKのスコアとOSに有意な相関が認められた。ハザード比1.06(95%信頼区間:1.0-1.12)、p(log rank)=0.050、p(尤度比)=0.047。pERKの発現スコアの0-12までの各レベルについて、死亡の危険が1.06倍増加することが示された。

 pAKTを評価した35人中、14人(40%)がpAKThigh(5-12点)、21人(60%)がpAKTlow(0-4点)に分類された。OS中央値は、pAKThighの患者で6.8カ月、pAKTlowの患者で6.4カ月となり、ハザード比は1.03(95%信頼区間:0.51-2.11)で、OSに影響していなかった(p=0.93)。

 p53を評価した50人中、4人(8%)が完全消失、20人(40%)が通常の発現、26人(52%)が過剰発現だった。OS中央値は、それぞれ8.1カ月、7.0カ月、5.0カ月で、OSに影響していなかった(p=0.91)。

 ただし、p53が通常の発現レベルだった患者では、PFS中央値が有意に改善していた。p53が完全消失、通常の発現、過剰発現の患者において、PFS中央値はそれぞれ1.8カ月、6.0カ月、2.5カ月だった(p=0.03)。

 また発疹の発現頻度も、p53が通常の発現レベルだった患者で有意に高かった。p53が完全消失、通常の発現、過剰発現の患者において、全グレードの発疹の発現頻度はそれぞれ25%、84%、61%だった(p=0.04)。