切除可能な大腸癌肝転移を有する患者に対する術前・術後のFOLFOX4は、手術単独と比較して無増悪生存率(PFS)を延長したものの、全生存率(OS)では有意な延長を示せなかったことが、EORTC Intergroup 40983試験で明らかになった。6月27日から30日までバルセロナで開催された第14回世界消化器癌学会(WCGC2012)で、フランスCentre Hospitalier Universitaire Ambroise Pare, Assistance Publique Hopitaux de ParisのBernard Nordlinger氏が発表した。

 EORTC Intergroup 40983試験では、切除可能な大腸癌肝転移を有する患者を対象として、周術期のFOLFOX4と手術を組み合わせ、有効性を評価している。

 2000年9月から2004年7月までに、無作為化割付けの時点で4個までの肝転移を有する大腸癌患者364人が登録され、術前・術後にFOLFOX4を各6サイクル行う群(CT群)と手術単独群(S群)に182人ずつが無作為に割付けられた。このうち、CT群で周術期化学療法の適応と判断された「適格例」は171人、S群で手術適応と判断された「適格例」は171人だった。CT群では152人が6サイクル(中央値)の術前化学療法を受けた後に腫瘍を切除し、115人が6サイクル(中央値)の術後化学療法を受けた。S群では152人が腫瘍を切除した。

 主要評価項目の無増悪生存率(PFS)は、実際に周術期化学療法を受けた「適格例」と腫瘍の切除が可能だった「切除例」で有意に改善したことが、2007年のASCOとLancet誌上で報告された(Nordinger et al. Lancet:2008;371:1007-1018)。3年時のPFSはCT群36.2%、S群28.1%で、ハザード比は0.77(95%信頼区間:0.60-1.00)となった(p=0.041)。安全性も良好だった。

 今回の発表では、副次的評価項目である全生存率(OS)について、追跡期間の中央値8.5年の結果が明らかにされた。2012年1月18日の時点で、死亡が報告されたのはCT群107人(58.8%)、S群114人(62.6%)だった。このうち進行による死亡は、CT群85人(46.7%)、S群99人(54.4%)だった。

 「適格例」における全生存期間中央値は、CT群63.7カ月、S群55カ月となり、CT群で8.7カ月の延長がみられた。5年時のOSは、CT群52.4%、S群48.3%となり、CT群で4.1%の改善がみられたが、ハザード比は0.87(95%信頼区間:0.66-1.14)で有意差は得られなかった(p=0.303)。
 
 無作為化割付けを行った対象における累積死亡率をみると、大腸癌による死亡はCT群よりもS群で高かったが、ハザード比は0.81(95%信頼区間:0.61-1.08)で、有意差はなかった(p=0.15)。CT群では大腸癌以外の死亡が多かった。

 進行を認めた後に行われたセカンドライン治療は、CT群では手術が53.7%、化学療法が75.6%で、S群ではそれぞれ50.0%と90.0%だった。

 Nordlinger氏はこの試験のパワー不足を認めたうえで、「今回OSで示された4%の改善は、大腸癌の試験で6年時のOSが4.2%でポジティブな結果だったMOSAIC試験などと類似している。切除可能な肝転移症例では大規模試験を組むことが難しく、OSで差を示すことは難しい。現時点では、このような症例に術後の化学療法が標準治療となる十分なエビデンスがなく、患者を選択して行う必要がある」と話した。

 転帰の改善を目指す強力な周術期の化学療法を検討する臨床試験として、KRAS野生型の患者を対象として周術期のFOLFOX±セツキシマブの有効性を検討するフェーズ3のCRUK 06/031試験、周術期のFOLFOX±ベバシズマブまたは±パニツムマブの有効性を検討するEORTC40091(BOS2)試験が現在進行中である。