転移性大腸癌に対し、いわゆるBeyond PD(ベバシズマブ投与後の初回増悪例におけるベバシズマブ継続投与の効果)は、KRAS遺伝子野生型、変異型に関係なく認められることが明らかとなった。Beyond PDの効果を初めて示した無作為化フェーズ3試験TML(ML18147)のサブグループ解析で分かったもの。6月27日から30日までバルセロナで開催された第14回世界消化器癌学会(WCGC2012)で、ベルギーUniversity Hospital GasthuisbergのEric Van Cutsem氏が発表した。

 TML試験は、転移性大腸癌に対するファーストライン治療でベバシズマブを含むレジメンを用いた後に進行した場合、セカンドライン治療で別の抗癌剤とベバシズマブを含むレジメンを使用すると、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を有意に延長することを示した。

 切除不能、組織学的に確認された転移性大腸癌患者で、ファーストラインとして、ベバシズマブと標準的な化学療法(オキサリプラチンベースかイリノテカンベース)を受け進行した患者を、セカンドラインとしてファーストラインで使用した2つの化学療法のうち、使わなかった化学療法とベバシズマブを投与する群(ベバシズマブ群)と化学療法のみを行う群(化学療法群)に分けて行われた。

 2006年2月から2010年6月までに820人(ベバシズマブ群409人、化学療法群411人)が登録された。

 試験の結果、全体ではベバシズマブ群のOS中央値は11.2カ月、化学療法群のOSは9.8カ月で、ハザード比が0.81(95%信頼区間:0.69-0.94)、p=0.0062で有意にベバシズマブ群で延長が認められた。PFS中央値は、ベバシズマブ群が5.7カ月、化学療法群が4.1カ月で、ハザード比が0.68(95%信頼区間:0.59-0.78)、p<0.0001で有意にベバシズマブ群で延長が認められた。

 サブグループ解析は、KRAS遺伝子変異の情報が得られた820人中616人(75%)を対象に行われた。解析に使われた患者背景に特に差はなかった。全体として300人(49%)がKRAS変異型、316人(51%)がKRAS野生型だった。

 KRAS野生型のベバシズマブ群のOS中央値は15.4カ月、化学療法群のOS中央値は11.1カ月で、ハザード比0.69(95%信頼区間:0.59-0.90)、p=0.0052で有意に延長していた。一方、KRAS変異型のベバシズマブ群のOS中央値は10.4カ月、化学療法群のOS中央値は10.0カ月で、ハザード比0.92(95%信頼区間:0.71-1.18)、p=0.4969で有意な差はなかった。KRASの状態による交互作用検定の結果はOSについて陰性(p=0.1266)となり、ベバシズマブの治療効果がKRAS変異の状態に依存していないことが示された。さらにKRASの状態について調整(単変量、多変量)した治療のハザード比のモデルでも、ベバシズマブによる利益は変異の状態と独立していた。

 次にKRAS野生型のベバシズマブ群のPFS中央値は6.4カ月、化学療法群のPFS中央値は4.5カ月で、ハザード比0.61(95%信頼区間:0.49-0.77)、p<0.0001で有意に延長していた。一方、KRAS変異型のベバシズマブ群のPFS中央値は5.5カ月、化学療法群のPFS中央値は4.1カ月で、ハザード比0.70(95%信頼区間:0.56-0.89)、p=0.0027で有意な差があった。

 KRASの状態による交互作用検定の結果はPFSについても陰性(p=0.4436)となり、治療効果がKRAS変異の状態に依存していないことが示された。

 サードライン以降の治療を受けた割合は各群で大きな差はなかった。EGFR阻害剤の投薬を受けた患者がKRAS野生型に比べて、KRAS変異型では少なかった。ただし、ベバシズマブ群と化学療法群では差がなかった。KRAS野生型でEGFR阻害剤の投薬を受けたのはベバシズマブ群70%、化学療法群69%、KRAS変異型でEGFR阻害剤の投薬を受けたのはベバシズマブ群7%、化学療法群9%だった。さらに、サードライン以降でベバシズマブを含むレジメンの治療を受けたのは、KRAS野生型でベバシズマブ群8%、化学療法群8%、KRAS変異型でベバシズマブ群17%、化学療法群22%だった。

 副作用の頻度は、KRASの変異の状態による差はなかった。