細胞増殖阻害因子であるTGF-β1の受容体(TGFBR1)における1塩基多型(SNP)が、大腸癌の発症と有意に関連していることが、大腸癌患者と健常者を対象にしたDNAのSNP解析で明らかになった。ルクセンブルクCentre Hospitalier de LuxembourgのMarc Pauly氏らが、6月27日から30日までバルセロナで開催されている第14回世界消化器癌学会(WCGC2012)で発表した。

 解析には進行大腸癌患者188例から得られた腫瘍の組織標本と健常者98例の血液検体を用いた。核ゲノムDNAを取り出した後、DNA鎖をPCR法で増幅し、融解曲線分析を行った。TGFBR1、TGFBR1のアンタゴニストであるSMAD7、癌抑制遺伝子であるp53などについてSNPの遺伝子型の頻度をχ2検定で解析し、大腸癌との関連性を調べた。

 大腸癌患者群と健常者群を比較した結果、TGFBR1のSNPでは有意に2群間で異なり(p=1.4E-8)、TGFBR1は顕著に大腸癌の発症と関連することが示された。例えば、遺伝子型AAC/AACは大腸癌患者群では33例、健常者群では42例、AAC/GCTではそれぞれ75例、45例、GCT/GCTでは80例、11例だった。

 その他、2群で違いが見られたのは、SMAD7(p=0.037)、p53(p=0.046)、PAI(p=0.047)、さらにCHR9(p=0.050)、CHR8(p=0.054)であった。

 例えばSMAD7のrs4939827では、遺伝子型CCが大腸癌患者群では68例、健常者群では26例、TCではそれぞれ70例、52例、TTでは50例、20例だった。P53では遺伝子型CCが大腸癌患者群では25例、健常者群では6例、GCではそれぞれ41例、32例、GGでは122例、60例だった。

 これらのことから、SMAD7とp53、PAI、CHR9、CHR8では「大腸癌との関連性が示唆されるものの、さらなる研究が必要である」とした。一方、「TGFBR1の遺伝子型は大腸癌の発症のマーカーになる可能性があり、予防や検査が優先される患者の同定に役立つかもしれない」と述べた。