転移を有する大腸癌患者を対象とした7件の無作為化比較対照臨床試験(RCT)のプール解析から、化学療法とベバシズマブの併用により、全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)が有意に改善し、PFSでは転移部位、年齢、KRAS遺伝子の状態、化学療法の強度およびレジメンのすべてのサブグループで有用であることが示された。6月27日から30日までバルセロナで開催されている第14回世界消化器癌学会(WCGC2012)で、米Duke University Medical CenterのHerbert I. Hurwitz氏が発表した。

 Hurwitz氏らは、転移を有する大腸癌患者について、サブグループを含めた臨床転帰を定義するため、ファーストラインまたはセカンドラインの治療でベバシズマブを使用した7件のRCT(フェーズ2またはフェーズ3)から論文ベースではなく個々の患者のデータを集積し、解析を行った。

 すべての解析はITT解析対象で行った。サブグループ解析には、転移部位(肝転移のみ、その他の転移も有する)、年齢(65歳未満、65歳以上、75歳以上)、KRAS遺伝子の状態(野生型、変異型)、化学療法の強度(単剤療法、併用療法)、レジメン(イリノテカンベース、オキサリプラチンベース)を含めた。全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)はKaplan-Meier法で算出し、OSとPFSの推定ハザード比と95%信頼区間はCox比例ハザードモデルを用いて求めた。データをプールした対照およびベバシズマブを投与した患者のOSとPFSの期間は、両側層別化log-rank検定を用いて比較した。
 
 ファーストライン治療の患者のデータは、AVF2107試験、NO16966試験、ARTIST試験、AVF2192試験(フェーズ2)、AVF0780試験(フェーズ2)、AGITG MAX試験から、セカンドライン治療のデータは、ECOG3200試験からそれぞれプールした。

 その結果、3763人がプールされ、化学療法のみを行った患者は1773人(CT群)、化学療法+ベバシズマブで治療した患者は1990人(CT+BV群)だった。両群の患者背景は同様で、女性の割合はそれぞれ41.6%と40.9%、年齢中央値は61歳と62歳、65歳以上の患者の割合は39.1%と40.1%、PS 0/1/2の患者の割合は54.5%/43.5%/1.8%と53.8%/43.6%/2.4%だった。肝転移のみの患者はCT群32.7%、CT+BV群33.2%、その他の転移も有する患者はそれぞれ35.5%と32.7%だった。KRASが測定され、野生型だった患者(計362人)はCT群66.2%、CT+BV群70.2%、変異型だった患者(計166人)はそれぞれ33.8%と29.8%だった。

 解析の結果、OS中央値はCT群16.1カ月、CT+BV群18.7カ月、ハザード比は0.80(95%信頼区間:0.71-0.90)となり、CT+BV群で有意に延長していた(p=0.0003)。フォレストプロットでも、OSは7件全ての試験においてCT+BV群で良好だった。

 PFSでもCT+BV群で有意な延長がみられた。PFS中央値は、CT群6.4カ月、CT+BV群8.8カ月、ハザード比は0.57(95%信頼区間:0.46-0.71)だった(p<0.0001)。フォレストプロットでも、PFSは全ての試験においてCT+BV群で良好だった。

 グレード3以上の有害事象はCT群で68.3%、CT+BV群で78.1%に発現し、到死的な有害事象はそれぞれ3.0%と4.0%だった。グレード3以上の有害事象はCT群と比べてCT+BV群に多く認められたが、発現率はいずれも低く、高血圧7.7%、静脈血栓塞栓症(VTE)8.2%、出血4.0%だった。CT群ではそれぞれ1.6%、6.5%、1.9%だった。

 サブグループ解析において、OSは、転移、年齢、KRAS遺伝子の状態、化学療法の強度、レジメンのいずれにおいてもCT+BV群で良好な傾向がみられ、ハザード比は0.80(95%信頼区間:0.71-0.90)だった。PFSではさらに良好な結果で、ハザード比は0.57(95%信頼区間:0.46-0.71)となった。

 Hurwitz氏は「今回のプール解析により、転移を有する大腸癌患者のファーストラインとセカンドラインの治療において、ベバシズマブの有効性と安全性プロファイルが確立されていることがより強く確認された」と述べた。