MET高発現の胃癌や胃食道接合部癌に対し、ECX療法(エピルビシン、シスプラチン、カペシタビン)に完全ヒト型モノクローナル抗体rilotumumab(AMG102)を併用することで予後が改善され、このことからMET蛋白発現量は効果予測因子である可能性が、無作為化二重盲検プラセボ対照比較フェーズ2試験でのバイオマーカー解析で示唆された。米国Amgen社のKelly S. Oliner氏らが、6月27日から30日までバルセロナで開催されている第14回世界消化器癌学会(WCGC2012)で発表した。

 METは胃癌において26-74%に発現し、胃食道接合部癌では80-100%に発現するといわれる。METの発現は胃癌患者において、壁深達度や転移、病期、予後不良と関連する。RilotumumabはMET受容体のリガンドである肝細胞増殖因子(HGF)に対するモノクローナル抗体。

 対象は、切除不能の局所進行もしくは転移性の胃癌あるいは胃食道接合部癌で、全身療法の治療歴がない患者121人。患者をrilotumumab(15mg/kg)+ECX群、rilotumumab(7.5mg/kg)+ECX群、プラセボ+ECX群の3群に1:1:1の割合で無作為に分けた。治療は3週おきに行い、エピルビシンは50mg/m2を第1日に、シスプラチン60mg/m2を第1日に、カペシタビンは625mg/m2を1日2回、第1日から第21日に投与した。

 この試験で、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)は、プラセボ+ECX群が4.2カ月であるのに対し、rilotumumab+ECX群では5.6カ月と有意に優れていた(ハザード比0.64、p=0.045)。全生存期間(OS)はプラセボ+ECX群が8.9カ月、rilotumumab+ECX群は11.1カ月だった(ハザード比0.73、p=0.215)ことが報告されている。今回はMET経路におけるバイオマーカーの解析が行われた。

 解析対象は118人、うちIHC法によるMET蛋白発現量が測定できた90人において、MET高発現(腫瘍細胞の50%超)は42%、MET低発現(腫瘍細胞の50%以下)は58%だった。

 治療群で比較すると、MET高発現患者において、rilotumumab+ECX群(27人)のPFS中央値は6.9カ月、プラセボ+ECX群(11人)は4.6カ月(ハザード比0.51、p=0.085)、OS中央値はそれぞれ11.1カ月、5.7カ月(ハザード比0.29、p=0.012)だった。

 またOSに関し、rilotumumab+ECX群ではMET低発現に対しMET高発現のほうが良好な傾向があった(ハザード比0.677、p=0.247)が、プラセボ+ECX群では逆にMET低発現のほうが良かった(ハザード比3.218、p=0.037)。さらにMET発現の閾値を変えると、腫瘍細胞における発現割合が高いほどrilotumumab+ECX群では予後が改善されることが示された。

 ただし、MET遺伝子コピー数、ベースライン時の血漿中HGFや血漿中METはOSとの関連性は見られなかった。安全性については、MET高発現患者でrilotumumabは管理可能であり、忍容性が認められた。

 以上の結果から、MET陽性の胃・胃食道接合部癌を対象に、ECX療法に対するrilotumumabの上乗せ効果をみるフェーズ3試験が計画されている。