治療歴がある進行胃癌患者に対するエベロリムスの効果を検討したフェーズ3のGRANITE-1試験から、全生存期間(OS)の独立した予後因子は、胃切除術の既往、PS、肝転移、過去3カ月間の体重減少であることが示された。6月27日から30日までバルセロナで開催されている第14回世界消化器癌学会(WCGC2012)で、ベルギーUniversity Hospital GastuisbergのEric Van Cutsem氏が発表した。

 GRANITE-1試験は、日本も参加した国際的な二重盲検、プラセボ対照、無作為化のフェーズ3試験。主要評価項目のOSで有意な改善が示されなかったことがASCO-GI2012で報告されている。

 GRANITE-1試験の対象は、進行胃癌で1または2つのラインによる全身化学療法の治療歴がある患者。エベロリムス10mg/日の投与とBSCを行う群(エベロリムス群)またはプラセボの投与とBSCを行う群(プラセボ群)のいずれかに、患者を2対1で無作為に割付けた。

 今回は、推定ハザード比(HR)に影響する可能性がある予後因子について、回帰モデルを用いて多変量解析が行われ、その結果も発表された。想定された予後因子は、PS、胃切除術の既往、肝・肺転移、原発腫瘍の部位、過去3カ月間の体重減少、Lauren分類によるびまん型と混合型だった。
 
 2009年7月から2010年12月までに656人が登録され、エベロリムス群439人(年齢中央値62.0歳、男性73.3%)、プラセボ群217人(同62.0歳、74.2%)となった。エベロリムス群のFAS解析の対象は439人、安全性解析の対象は437人で、プラセボ群ではそれぞれ217人と215人だった。

 エベロリムス群とプラセボ群の患者背景に大きな差はなかった。PS 1の患者の割合は61.3%と55.3%、PS 2の患者の割合は5.7%と12.4%、胃の部分切除術を受けた患者は28.7%と27.6%、胃全摘術を受けた患者は22.1%と20.7%だった。過去3カ月間に5%を超える体重減少を認めた患者はそれぞれ19.8%と20.7%、肝転移を有する患者は43.4%と50.2%だった。原発腫瘍の部位、Lauren分類なども両群で同様だった。
 
 OS中央値は、エベロリムス群5.39カ月、プラセボ群4.34カ月で、ハザード比(HR)は0.90(95%信頼区間:0.75-1.08)となり、有意差はみられなかった(p=0.1244)。
 
 FAS解析の対象において、OSの独立した予後因子として抽出されたのは、胃切除術の既往(HR0.75、95%信頼区間:0.62-0.89、p=0.002)、PS 1(HR1.64、95%信頼区間:1.34-2.00、p<0.001)とPS 2(HR5.40、95%信頼区間:3.81-7.66、p<0.001)、肝転移(HR1.40、95%信頼区間:1.18-1.67、p<0.001)、過去3カ月間の5%を超える体重減少(HR1.25、95%信頼区間:1.01-1.55、p=0.041)だった。これらの結果は、他の試験の結果と一致するものだった。
 
 グレード3以上の有害事象でエベロリムス群に多く観察されたのは、貧血16.0%、食欲低下11.0%、疲労感7.8%などで、プラセボ群ではそれぞれ12.6%、5.6%、5.1%だった。エベロリムスの安全性プロファイルは他の癌腫で報告されたエベロリムスの報告と同様だった。