Ras陽性膵癌患者において、GI-4000とゲムシタビン併用の術後補助療法は忍容性があり、ゲムシタビン単独より全生存期間(OS)を改善することが、多施設共同フェーズ2試験で明らかになった。なお今回はR1切除患者のみを対象とした解析であった。US Oncology ResearchのDonald A. Richards氏らが、6月27日から30日までバルセロナで開催されている第14回世界消化器癌学会(WCGC2012)で発表した。

 膵癌患者の90%はRas変異を有している。GI-4000は、Ras変異のある癌をターゲットとするワクチン。組換えイースト(Saccharomyces cerevisiae)を利用した免疫原で、抗原特異的T細胞の免疫反応により、変異したrasタンパク質を発現する細胞を選択的に攻撃する。

 対象は、切除手術を受けたRas変異陽性の膵癌患者176人(R0切除が137人、R1切除が39人)。GI-4000+ゲムシタビン群とプラセボ+ゲムシタビン群(ゲムシタビン単独群)の2群に分けた。

 治療は、GI-4000またはプラセボを週1回注射し、これを3回行った。その後、28日おきにゲムシタビン1000mg/m2を第1日、8日、15日に投与し、6サイクル行った。またゲムシタビンの休薬期間に、GI-4000またはプラセボを月1回投与した。GI-4000とプラセボは、再発や認容できない毒性の出現、あるいは死亡まで投与継続した。

 まずR1切除患者39人(GI-4000+ゲムシタビン群は19人、ゲムシタビン単独群は20人)を対象に解析が行われた。

 この結果、主要評価項目である無再発生存期間(RFS)は、中央値でGI-4000+ゲムシタビン群は287日、ゲムシタビン単独群群では255日だったが、治療開始後およそ300日以降は生存曲線が重なり2群で違いが見られなかった。

 一方、OS中央値はGI-4000+ゲムシタビン群では524日(17.2カ月)、ゲムシタビン単独群群では444日(14.6カ月)であり、GI-4000により2.6カ月の延長が認められた。1年生存率はそれぞれ72%、56%であった。さらにGI-4000+ゲムシタビン群のうち、Ras特異的T細胞の免疫反応が確認された患者では生存期間がより長い傾向があった。

 さらにR0/R1切除患者90人のベースライン時の血漿サンプルを使い、プロテオソーム解析を行った。晩期再発と早期再発を予測するバイオマーカーを同定したところ、晩期再発を示すプロテオミック・シグナチャーをもつ患者では、GI-4000+ゲムシタビン群とゲムシタビン単独群のRFSおよびOSは有意に異なっていた。

 安全性は年に2回、データ安全性モニタリング委員会が審査した。結果、両群とも安全性プロフィールは同じであったが、GI-4000+ゲムシタビン群では、注射部位疼痛が26%、呼吸困難が32%、背部痛が37%で、ゲムシタビン単独群では抑うつが30%、腹部膨満が25%、蜂窩織炎が20%、食欲減退が20%で見られた。