転移を有する膵癌で全身状態が良好な患者では、FORFIRI3ゲムシタビンを組み合わせたFIRGEMによる治療戦略の実現が可能であり、有効性もみられ、毒性も管理可能な範囲であることが、 Association des Gastro-enterologues Oncologues (A.G.E.O)の多施設共同フェーズ2試験の予備解析から示された。6月27日から30日までバルセロナで開催されている第14回世界消化器癌学会(WCGC2012)で、フランスHopital Europeen Georges PompidouのJulien Taieb氏が発表した。

 膵癌では、異なる化学療法剤を連続投与することで有効性と忍容性が改善する可能性があり、過去のフェーズ2試験では、治療歴がない進行膵癌患者においてFOLFIRI3が有効であったことが報告されている。

 Taieb氏らは、転移を有する膵腺癌患者における有効性と忍容性を改善するため、イリノテカン(CPT-11)をベースとするレジメンによる新たな治療戦略を検討した。患者は、PSが0または1、血清ビリルビン値が1.5ULM未満、脳転移や骨転移はないこととした。

 患者をFIRGEM群とGEM群の2群に無作為に割付けた。FIRGEM群では、FOLFIRI3を2週毎に4サイクル行った後、ゲムシタビンの2カ月間の投与に変え、その後もFOLFIRI3とゲムシタビンの投与を交互に行った。FOLFIRI3では、CPT-11 90mg/m2を60分かけて、ロイコボリン400mg/m2は2時間かけてそれぞれ1日目に投与し、その後5-FU 2000mg/m2を46時間かけて投与した後、再度CPT-11 90mg/m2を投与した。ゲムシタビンは1000mg/m2を10mg/m2の速度で、1、8、15、29、36、43日目に投与した。GEM群ではゲムシタビン単剤をA群と同量で投与した。なお、FIRGEM群に予防的なG-CSFの投与は行わないこととした。主要評価項目は6カ月時の無増悪生存率(PFS)だった。

 2007年から2011年までに98人が登録され、各群49人ずつとなった。男性の割合、平均年齢、PS 0の患者の割合、転移部位が2カ所以上の患者の割合は、FIRGEM群で63.3%、63.4歳、30.6%、32.6%、GEM群ではそれぞれ57.1%、61.2歳、32.7%、28.6%だった。

 PFS中央値は、FIRGEM群5.0カ月、GEM群3.6カ月で、6カ月時のPFSはそれぞれ49.0%(95%信頼区間:34.5%−63.5%)と30.6%(同:17.2%−44.0%)となった。1年時のPFSはFIRGEM群22.8%(95%信頼区間:11.5%−36.4%)、GEM群10.7%(同:3.9%−21.3%)だった。

 FIRGEM群のPFS曲線は、FOLFIRINOXを行った患者のPFS曲線(ハザード比0.47、p<0.001)と類似していた。

 奏効率は、FIRGEM群40%、GEM群11.4%、病勢コントロール率(DCR)はそれぞれ73.3%と52.3%となった。OSとQOLについてのモニタリングが継続中である。

 グレード3以上の有害事象の発現率は、好中球減少はFIRGEM群51.1%、GEM群25.0%、血小板減少がそれぞれ20.0%と18.8%、貧血は13.3%と6.3%、発熱性の好中球減少は4.4%と0%だった。グレード3以上の下痢はFIRGEM群13.3%、GEM群0%、嘔気・嘔吐は11.1%と4.2%の発現率だった。

 Taieb氏は、「FIRGEMとFOLFIRINOXを比較するフェーズ3試験が必要」と述べた。

 Partenariat de Recherche en Oncologie Digestive(PRODIGE)のフェーズ2試験では、ファーストライン治療でFIRGEMを行い、セカンドライン治療でFOLFOXを行う群、ファーストライン治療でFOLFIRINOXとロイコボリン+5FUの投与を行い、セカンドライン治療でゲムシタビンを投与する群、ファーストライン治療でFOLFIRINOX、セカンドライン治療でゲムシタビンを投与する群の、計3群の比較が行われている。この試験の6カ月時のPFSは40%と報告され、忍容性とQOLに焦点を当てた検討が進行中であるという。