大腸癌肝転移に対して、FOLFOXIRI(5-FU/ロイコボリン、オキサリプラチン、イリノテカン)へのベバシズマブ追加は、FOLFOXIRI単独に比べて、肝組織への毒性を増すことなく、組織病理学的効果を高めることが、肝転移の再切除を行った患者を対象にしたレトロスペクティブ解析でわかった。6月22日から25日までスペイン・バルセロナで開催された第13回世界消化器癌学会(WCGC2011)で、イタリアAzienda Ospedaliero-Universitaria Pisana, Istituto Toscano TumoriのChiara Caparello氏らが発表した。

 FOLFOXIRIによる治療は、画像判定でも組織病理学的判定でも抗腫瘍効果が高く、治癒切除(R0切除)率を向上させることが報告されている。また大腸癌肝転移に対し、化学療法へのベバシズマブ追加の有用性も示されている。そこでCaparello氏らは、FOLFOXIRIとベバシズマブを併用したときの組織病理学的効果を調べた。

 解析対象は、フェーズ2試験やフェーズ3試験に登録し、肝転移の再切除を行った患者42人。FOLFOXIRI治療を受けた13人およびXELOXIRI(カペシタビン、オキサリプラチン、イリノテカン)治療を受けた患者5人の計18人(3剤併用群)と、FOLFOXIRI+ベバシズマブ治療を受けた24人(3剤併用+BV群)を比較した。

 組織病理学的効果は、腫瘍縮小グレード(TRG)を用いて判定された。TRGのグレード1は腫瘍細胞が消失した状態を、TRGのグレード5は腫瘍細胞が多い状態を示す。

 患者の年齢中央値は3剤併用+BV群が60歳、3剤併用群が64歳、男性がそれぞれ16人(67%)、15人(83%)、ECOG PS 0が19人(79%)、16人(89%)、PS 1が5人(21%)、2人(11%)だった。また転移部位が肝臓のみの患者が19人(79%)、18人(100%)であった。

 組織病理学的効果を比較すると、3剤併用+BV群ではTRGがグレード1、2、3と判定された患者が15人(62.5%)だったが、3剤併用群では5人(28%)であり、有意な違いが見られた(p=0.033)。一方、病理学的完全奏効(pCR)は3剤併用+BV群で4人(16%)、3剤併用群は2人(11%)で、pCR率に有意差はなかった(p=0.685)。

 肝組織への毒性について、脂肪症(steatosis)が3剤併用+BV群では7人(30%)、3剤併用群では7人(39%)に見られた(p=0.74)。また類洞拡張(sinusoidal dilation)はそれぞれ18人(78%)、12人(67%)であった(p=0.488)。

 全患者で、TRG 1、2、3と判定された患者の無増悪生存期間(PFS)中央値は39.5カ月だが、TRG 4、5の患者では15.7カ月と短かった(ハザード比 0.50、95%信頼区間 0.23-1.10、p=0.08)。一方、3剤併用+BV群では、TRG 1、2、3とTRG 4、5の患者ではPFSに有意な違いが見られた(p=0.02)。このためCaparello氏は「全患者および3剤併用+BV群において、TRGは予後と相関する」と述べた。