胃癌のHER2発現の有無は、FISH法でも免疫組織化学(IHC)法でも、原発巣と転移巣で一致率が高いことが確認された。これにより転移巣に対する治療であっても、原発巣のHER2判定結果で治療選択を判断できることが確認された。6月22日から25日までスペイン・バルセロナで開催された第13回世界消化器癌学会(WCGC2011)で、イタリアAzienda Ospedaliero-UniversitariaのFrancesca V. Negri氏らが発表した。

 トラスツズマブはHER2陽性の進行胃癌に有効であるが、その治療は転移巣もターゲットとしているにもかかわらず、HER2判定は原発巣の組織を用いて行われている。そこで、Negri氏らは、胃癌病変における原発巣と転移巣のHER2発現を比較した。

 原発巣胃癌72例(生検組織が14例、外科的切除標本が58例)とその転移巣72例を用いて、FISH法とIHC法でHER2発現を判定した。転移巣は肝臓が19例、腹水が11例、リンパ節が16例、腹膜が8例、皮膚が4例、胸水が4例、その他が10例だった。

 この結果、FISH法では評価した68例中、HER2増幅は原発巣では10例、転移巣では11例で認められた。このため原発巣と転移巣の一致率は98.5%(67/68)となった。

 IHC法では評価できた39例中、HER2陽性は原発巣では5例、転移巣では7例であり、原発巣と転移巣の一致率は94.9%(37/39)だった。

 また転移巣39例で、FISH法による陽性は8例、IHC法では7例であり、FISH 法とIHC法との一致率は97.4%(38/39)だった。

 FISH法とIHC法で得られたHER2発現の結果から、限られた例数の検討でありながらも原発巣と転移巣の一致率は高く、「HER2発現の状態は転移のプロセスにおいて大半は変化しないことを示唆している」とNegri氏は述べた。