KRAS野生型の切除不能な大腸癌患者では、肝限局転移(LLD)と非肝限局転移(Non-LLD)のいずれにおいても、ファーストラインの化学療法とセツキシマブの併用により臨床的な有用性が得られることが、CRYSTRAL試験とOPUS試験の記述的分析から明らかになった。6月22日から25日までスペイン・バルセロナで開催された第13回世界消化器癌学会(WCGC2011)で、ドイツOnkologie Klinikum OldenburgのClaus-Henning Kohne氏が発表した。

 CRYSTAL試験とOPUS試験では、KRAS野生型の切除不能な大腸癌患者に対し、ファーストラインの化学療法にセツキシマブを併用することで臨床的な有用性が改善している。

 Kohne氏らは両試験の記述的分析を行い、KRAS野生型の患者について、LLDとNon-LLDにおけるファーストライン治療の有効性を検討した。化学療法単独群と化学療法とセツキシマブの併用群について、奏効率、R0切除率、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)をLLDとNon-LLDに分けて比較した。

 CRYSTAL試験では、化学療法(FOLFIRI)単独群に350人、化学療法とセツキシマブの併用群に316人が割り付けられた。LLDの患者は79%、Non-LLDの患者は21%だった。

 奏効率は、KRAS野生型の患者全体、LLD、Non-LLDのいずれのサブグループでも併用群で有意な改善が認められた。化学療法単独群の奏効率は、それぞれ39.7%、44.4%、38.5%だったのに対し、併用群では57.3%、70.6%、53.6%となった(いずれもp<0.001)。

 R0切除率は、KRAS野生型の患者全体では有意な改善が認められたが、LLDとNon-LLDでは改善はみられたものの有意差はなかった。化学療法単独群のR0切除率は、それぞれ2.0%、5.6%、1.1%だったのに対し、併用群では5.1%、13.2%、2.8%となった(それぞれp=0.027、p=0.125、p=0.140)。

 PFSは、KRAS野生型の患者全体、LLD、Non-LLDのいずれのサブグループでも併用群で有意な改善が認められた。化学療法単独群のPFSの中央値は、8.4カ月、9.2カ月、8.1カ月だったのに対し、併用群では9.9カ月、11.8カ月、9.5カ月となった(それぞれp=0.001、p=0.035、p=0.012)。

 OSは、KRAS野生型の患者全体とNon-LLDで有意な改善が認められた。LLDでは両群ともに27カ月を超えるOSが得られたが、差はなかった。化学療法単独群のOSの中央値は、20.0カ月、27.7カ月、17.4カ月だったのに対し、併用群では23.5カ月、27.8カ月、22.5カ月となった(p=0.009、p=0.44、p=0.013)。

 一方のOPUS試験では、化学療法(FOLFOX4)単独群に97人、化学療法とセツキシマブの併用群に82人が割り付けられ、LLDの患者は73%、non-LLDの患者は27%だった。

 併用群で有意な改善が認められたのは、KRAS野生型の患者全体とLLDの奏効率、KRAS野生型の患者全体とNon-LLDのPFSだった。

 奏効率は、KRAS野生型の患者全体では化学療法単独群34.0%、併用群57.3%となり(p<0.003)、LLDでは39.1%と76.0%となった(p=0.0016)。PFSは、KRAS野生型の患者全体では化学療法単独群7.2カ月、併用群8.3カ月となり(p=0.006)、Non-LLDでは6.0カ月と7.6カ月となった(p=0.023)。