HER2を標的とする進行胃癌の治療では、HER2の発現強度をふまえたレジメンの選択を行う必要がある。ドイツKlinikum BraunschweingのFlorian Lordick氏は、6月22日から25日までスペイン・バルセロナで開催された第13回世界消化器癌学会(WCGC2011)で、進行胃癌の新たな治療選択のアルゴリズムについてこう語った。

 HER2は胃癌の新たな標的として注目されている。

 アジア、欧州、ラテンアメリカなど24カ国が参加したToGA試験では、登録した胃癌患者3807人から3665の標本を採取し、スクリーニングでHER2陽性(IHC3+またはFISH陽性)の810人(22.1%)を選出した。さらにその中の進行胃癌患者584人を2群に分け、対照群には標準療法として静注5FUまたはカペシタビンとシスプラチンを投与し、比較治療群には標準療法にトラスツズマブを併用投与した。

 主要評価項目である全生存期間(OS)の中央値は、トラスツズマブを併用した群で13.8カ月、標準療法単独群で11.1カ月だった。ハザード比は0.74(95%信頼区間 0.60-0.91)となった(p=0.0046)。

 完全奏効(CR)、部分奏効(PR)の割合は、トラスツズマブを併用した群で5%と42%、標準療法単独群で2%と32%となった。

 サブ解析では、トラスツズマブがOSの改善に寄与する因子として、HER2の発現強度とOSハザード比に相関関係が見られたことから、HER2の発現強度であることが示された。

 後層別解析でIHC3+、またはIHC 2+かつFISH陽性の集団ではトラスツズマブを併用した群は16.0カ月、標準療法単独群は11.8カ月とOSに明確な差がみられ、ハザード比は0.65(95%信頼区間 0.51-0.83)を示した。

 この結果から、進行胃癌の新たな治療選択のアルゴリズムは、HER2の発現状態により次のように提唱された。

・IHC 0/1+または、IHC 2+でFISH陰性:白金系抗癌剤+フルオロピリミジン(+ドセタキセル)
・IHC 2+でFISH陽性または、IHC3+:トラスツズマブとシスプラチン+フルオロピリミジンの併用

 Lordick氏は、HER2陽性胃癌に対する次のステップとして、HER2阻害薬に対する抵抗性の克服、周術期の設定でのHER2阻害薬の使用、HER2阻害薬の選択肢(ラパチニブなど)、阻害薬の併用(トラスツズマブ+pertuzumabなど)を挙げた。

 なお欧州におけるトラスツズマブの適応症は、HER2発現強度「IHC2+でFISH陽性、またはIHC3+」であり、日本または米国の適応症「IHC3+またはFISH陽性」と異なる。