エベロリムスは、進行膵内分泌腫瘍(pNET)の全身の腫瘍量のバイオマーカーであるクロモグラニン(CgA)と神経特異性エノラーゼ(NSE)を速やかに低下させ、その状態を維持し、これらのバイオマーカーの値によらずに無増悪生存期間(PFS)を改善することがわかった。6月22日から25日までスペイン・バルセロナで開催されている第13回世界消化器癌学会(WCGC2011)で、ドイツCharite Universitatsmedizin BerlinのMarianne Pavel氏が発表した。

 pNETの多くは、神経分泌顆粒中の酸性糖蛋白であるCgAを分泌する。CgAの上昇がみられない場合は、神経特異性エノラーゼ(NSE)も有用なバイオマーカーとなる。

 経口mTOR阻害薬のエベロリムスはRADIANT-3試験において、進行pNETの患者の無増悪生存期間(PFS)をプラセボよりも6.4カ月延長したことが報告された。

 RADIANT-3試験では、低グレードまたは中間のグレードの進行pNET患者を、エベロリムス10mgを毎日投与する群(207人)とプラセボを投与する群(203人)に割り付け、支持療法を両群に行っている。

 Pavel氏らは、RADIANT-3試験における長期的なCgAとNSEの変化とともに、ベースラインでこれらが高値だった患者と高値ではなかった患者について、エベロリムスの有効性を調査した。

 ベースラインでCgAとNSEの値を測定し、ベースラインの値が正常上限値(ULN)を超える場合は、その後の治療サイクルの1日目に測定を繰り返した。ULNは、CgAでは36.4ng/mL、NSEでが8.6ng/mLとした。PFSに対する治療効果の解析にあたり、ベースラインでCgAの値がULNの2倍を超える場合、NSEの値がULNを超える場合を高値の定義とした。

 ベースラインでCgAが高値だった患者は187人(年齢中央値59歳)、高値ではなかった患者は218人(同55歳)で、エベロリムス群の患者はそれぞれ45%と56%だった。

 ベースラインでCgAが高値だった患者のPFSの中央値は、エベロリムス群8.5カ月、プラセボ群4.3カ月で、ハザード比は0.31(95%信頼区間 0.21〜0.46)となった(p<0.001)。

 一方、CgAが高値ではなかった患者のPFSの中央値は、エベロリムス群11.2カ月、プラセボ群4.9カ月となり、ハザード比は0.38(95%信頼区間 0.27〜0.53)であった(p<0.001)。

 ベースラインでNSEが高値だった患者は104人(同57歳)、高値ではなかった患者は293人(同58歳)で、エベロリムス群の患者はそれぞれ46%と53%だった。

 ベースラインでNSEが高値だった患者のPFSの中央値は、エベロリムス群8.1カ月、プラセボ群2.8カ月となり、ハザード比は0.35(95%信頼区間 0.21〜0.59)となった(p<0.001)。一方、NESが高値ではなかった患者のPFSは、エベロリムス群13.9カ月、プラセボ群5.4カ月となり、ハザード比は0.34(同 0.25〜0.47)であった(p<0.001)。

 さらにエベロリムス群では、プラセボ群と比べて速やかにCgAとNSEの値が低下し、持続していた。

 エベロリムスは進行性、局所進行性または転移性のpNETに対し、2011年5月に米食品医薬品局(FDA)に承認されている。