アンチセンスオリゴヌクレオチド製剤のtrabedersen(AP12009)は忍容性が良好で、セカンドライン治療として投与した進行膵癌患者では全生存期間(OS)でも有望な結果が得られることがフェーズ1/2試験で示された。6月22日から25日までスペイン・バルセロナで開催されている第13回世界消化器癌学会(WCGC2011)で、ドイツAntisense Pharma GmbH社のPeter Kiessling氏が発表した。

 trabedersen(AP12009)は、免疫抑制や血管新生、転移、増殖といった癌の発生と進行に重要な役割を果たすTGF-β2のmRNAに結合し、合成を阻害する。

 Kiessling氏らは、ステージIIIまたはIVの進行性の膵癌、悪性黒色腫、大腸癌の成人患者を対象とした非盲検、多施設共同のフェーズ1/2試験を行い、trabedersenの増量を検討した。本試験の主要評価項目は安全性と忍容性、最大耐用量(MTD)、用量制限毒性(DLT)であった。

 trabedersenはセカンドライン以降の治療として単剤で投与し、2〜10サイクルまで繰り返すこととした。

 フェーズ1試験では2段階の投与スケジュールとし、第一段階では、7日間投与、7日間休薬とし、40〜240 mg/m2/日の用量で検討した。その結果、DLTを240 mg/m2/日の用量で4人中3人に認め、MTDは160mg/m2/日となった。

 続く第二段階では投与期間を短縮し、4日間投与、10日間休薬とし、140〜330 mg/m2/日の用量で検討した。140mg/m2/日の用量で5人中1人にDLTを認めたが、それよりも高い用量ではDLTは認めず、MTDには到達しなかった。

 フェーズ2試験では、4日間投与、10日間休薬とし、140mg/m2/日の用量で、膵癌と悪性黒色腫の患者各14人にtrabedersenを投与した。

 このフェーズ1/2試験には、合計で膵癌患者37人(年齢中央値63歳)、悪性黒色腫患者19人(同63歳)、大腸癌患者5人(同61歳)が登録された。全例が化学療法による前治療を1回以上受けていた。

 安全性については、約85%の有害事象はtrabedersenと関連するものではなかった。

 trabedersenに関連する重篤な有害事象(SAE)として、140mg/m2/日の用量でグレード3の消化管出血とグレード2の発熱と悪寒が各1人に発現したが、いずれも回復した。

 予測された薬物有害反応(ADR)は血小板減少で、全患者の7.4%に発現した。ただし、重篤ではなく、一過性で、治療や入院は不要だった。DLTは、240mg/m2/日の用量でグレード3の血小板減少、斑状丘疹状皮疹が発現したが、重度ではなかった。消化管出血は前述のSAEとなった。

 セカンドライン治療でtrabedersenを投与した膵癌患者15人のOSの中央値は、6.93カ月(95%信頼区間 2.89〜13.44)だった。このうち、4日間投与、10日間休薬、140mg/m2/日の用量で投与した9人では、OSの中央値は13.44カ月(同 2.17〜39.69カ月)となった。

 ただし、同じ患者群でもサルベージ治療としてtrabedersenを投与した場合は、OSに対する効果はみられなかった。