進行胃癌に対する腹腔鏡補助下胃切除術(LAG)の中期転帰は、開腹手術による胃切除術(OG)と同様であり、選択された患者においてLAGは低侵襲治療となりうる結果が示された。6月30日から7月3日までスペイン・バルセロナで開催された第12回世界消化器癌学会で、東京医科歯科大学医学部附属病院食道・胃外科の小嶋一幸氏が発表した。

 LAGは早期胃癌の治療選択肢となりつつあるが、進行胃癌に対するリンパ節郭清を伴うLAGの実現可能性と予後については、意見が分かれている。

 小嶋氏らは中期転帰により、LAGが進行胃癌に対する開腹手術の代替手段となる可能性が示されるかを検討した。

 1999年1月から2008年12月に同院でリンパ節郭清がLAGによって行われたのは451人で、うち76人が病理学的に進行胃癌と診断された。このうち他の臓器に多発性の原発腫瘍がない66人(男性52人、年齢中央値64歳)を今回の解析の対象とし、進行胃癌で同時期に従来の開腹手術による胃切除術(OG)を行った90人(同63人、65歳)と比較した。

 臨床病理学的な特性で2群間に有意差を認めたのは、術式、病理学的T分類などについてであった。

 幽門側胃切除、噴門側胃切除、胃全摘を行ったのは、LAG群ではそれぞれ47人、3人、16人で、OG群では52人、0、38人であった(p<0.05)。

 病理学的T分類でT2a、T2b、T3であったのは、LAG群ではそれぞれ31、23、12人で、OG群では27、38、25人であった(p<0.05)。

 手術転帰で2群間に有意差を認めたのは、術式、リンパ節郭清範囲、手術時間、出血量についてであった。

 D1、D1+α、D1+β、D2を行ったのは、LAG群ではそれぞれ1、3、31、31人で、OG群では3、16、14、57人であった(p<0.05)。

 平均手術時間は、LAG群300分(範囲:169〜500分)、OG群252分(同:120〜463分)であった(p<0.01)。

 平均出血量は、LAG群136mL(範囲:0〜620mL)、OG群512mL(同:32〜1890mL)であった(p<0.01)。

 術後合併症の発生は、LAG群12件(18%)、OG群19件(21%)で有意差はなかった。合併症の内訳は、出血、吻合部縫合不全、吻合部狭窄、膵瘻、膵炎、腹部膿瘍、その他で、LAG群ではそれぞれ1、1、2、0、3、2、3件、OG群では1、6、1、1、0、2、9件(重複例含む)であった。

 3年および5年の疾患特異的生存率は、LAG群ではいずれも83.6%、OG群では84.3%と78.3%で、有意差はなかった(p=0.79)。

 3年および5年の無再発生存率は、LAG群では82.5%と78.6%、OG群では80.8%と76.5%で、有意差はなかった(p=0.94)。

 ステージIBで3年および5年の疾患特異的生存率をみると、LAG群ではいずれも92.9%、OG群ではいずれも100%で、有意差はなかった(p=0.86)。同様に3年および5年の無再発生存率をみると、LAG群ではいずれも89.8%、OG群ではいずれも100%で、こちらも有意差はなかった(p=0.48)。

 ステージIIで3年および5年の疾患特異的生存率をみると、LAG群ではいずれも88.5%、OG群では89.4%と78.6%で、有意差はなかった(p=0.64)。同様に3年および5年の無再発生存率をみると、LAG群では86.5%と75.7%、OG群では80.8%と76.5%で、こちらも有意差はなかった(p=0.99)。

 小嶋氏は「今後も開腹手術による胃切除との比較・検討を続ける必要がある」としている。