切除不能な大腸癌肝転移に対し、全身化学療法とラジオ波熱凝固療法RFA)の併用療法は、30カ月時の全生存率が38%を超えるという主要目的を達成したものの、対照の全身化学療法単独でもこの目的を達成し、優位性を証明することはできなかった。しかし、この併用療法は安全で、全身化学療法単独よりも無増悪生存期間(PFS)を有意に改善する結果も示された。この結果は、フェーズ2のEuropean Organization for Research and Treatment of Cancer(EORTC) Intergroupの無作為化CLOCC試験(40004)の最終結果から明らかになったもの。6月30日から7月3日までスペイン・バルセロナで開催された第12回世界消化器癌学会で、オランダThe Netherlands Cancer InstituteのTheo Ruers氏が発表した。

 切除不能な大腸癌肝転移例には全身化学療法を考慮する必要があるが、RFAが行われる症例が増加している。RFAの有効性を証明する前向きの無作為化試験は行われていない。

 Ruers氏らは、切除不能な大腸癌肝転移患者を対象として無作為化試験を行い、全身化学療法にRFAを併用する治療法の安全性と有効性を評価した。

 試験の主要目的は、この併用療法で30カ月時の全生存率(OS)が38%を上回ることを証明することであった。副次的な目的は、PFS、OS、安全性などとした。

 2002年4月から2007年6月までに、肝転移の数が10個未満、RFAを行う病変部の最大径が4cm以下で、肝外転移のない患者を登録した。当初、フェーズ3の無作為化試験を予定していたが、集積が進まず、スケールダウンしたフェーズ2試験とし、予定のサンプルサイズ(152人)に到達しない119人とした。
  
 RFAと全身化学療法を6カ月間行い、状態に応じて切除する群に60人(年齢中央値64歳、男性61.7%)、全身化学療法のみを6カ月間行い、肝転移が縮小し可能なら切除する群に59人(同61歳、71.2%)が割り付けられた。

 RFAは開腹下、腹腔鏡下、経皮のいずれも可とした。両群で行った全身化学療法は、2002年から2005年はFOLFOX4、2006年から2007年はFOLFOX4とベバシズマブの併用であった。3カ月毎にCEA、腹部CT、X線でフォローアップを行った。

 治療の実施状況をみると、FOLFOX4を行ったのは併用療法群72%、全身化学療法群78%で、FOLFOX4とベバシズマブを併用したのは13%と22%だった。併用療法群には、進行やRFAまたは手術の合併症などのため、RFAのみとなった患者10%も含まれた。また同群には、治療拒否やデータの未受理などで治療なしとされた患者5%も含まれた。

 全身化学療法群では12%が切除可能となった。併用療法群ではRFAと切除を行った患者は47.4%であった。RFAは開腹下での施行が最も多く、89.5%を占めた。平均入院期間は4.8日であった。

 RFA施行後の合併症では感染が最も多く10.5%、次いで心不全または心筋梗塞5.3%、出血3.5%、死亡は1人(1.8%)だった。

 全身化学療法によるグレード3以上の有害事象は好中球減少症、下痢などが多く、発現状況は両群で同様であった。

 OSの中央値は 併用療法群3.78年、全身化学療法群3.38年で、前者でやや延長したものの、有意差はなかった(p=0.2176)。

 主要目的の30カ月時のOSは、併用療法群63.83%、全身化学療法群58.56%となった。フォローアップ期間の中央値は両群ともに4.4年。

 治療後の生存をみると、併用療法群48.3%、全身化学療法群33.9%となった。死因で最も多かったのは進行で、併用療法群46.7%、全身化学療法群62.7%に認められた。

 PFSの中央値は、併用療法群16.82カ月、全身化学療法群9.92カ月で、前者で有意に改善した(p=0.0249)。

 初回の進行部位が肝臓であったのは、併用療法群64.3%、全身化学療法群84.9%で、肝外であったのは35.7%と13.2%だった。RFAを行った部位ではこの値は低く、11.5%であった。