高分化型で進行性の膵内分泌腫瘍(膵NET)患者にスニチニブが投与され、無増悪生存期間(PFS)や全生存期間(OS)が改善する際、QOLに悪影響を及ぼさず、全体的な健康関連QOL、感情および身体の機能の悪化を遅らせていることがわかった。6月30日から7月3日までスペイン・バルセロナで開催された第12回世界消化器癌学会で、フランスService Inter-Hospitalier de Cancerologie et Service de GastroenteropancreatologieのEric Raymond氏が発表した。

 高分化型で進行性の膵NETを対象としたフェーズ3の無作為化二重盲検試験で、PFSの中央値はスニチニブ11.4カ月、プラセボ5.5カ月で、前者で有意に改善したことが報告された(p=0.0001)。OSのハザード比は0.409であった(p=0.0204)。忍容性は良好で、多く観察された有害事象は下痢、嘔気・嘔吐、無力症などであった。

 今回Raymond氏らは、患者が解答するpatient-reported outcomes(PRO)、PFSを予測する因子の予備解析などを含め、この試験の臨床的なベネフィットを評価した。

 この試験の対象は、2007年6月から2009年4月までに11カ国から登録された、高分化型で進行性の膵NETで過去12カ月間に進行を認め、治癒切除の対象にはならない患者171人であった。患者はスニチニブを1日1回、37.5mg投与する群(86人)と、プラセボを投与する群(85人)に割り付けられた。支持療法は両群で行われた。

 患者は、15の項目からなるEuropean Organisation for Research and Treatment of Cancer Quality of Life Questionnaire-Core 30(EORTC QLQ-C30)に、1日目とその後は4週毎、さらに治療終了または中止の時点で解答した。EORTC QLQ-C30には、全体的な健康関連QOL、認知や感情の機能などの5つのスケールと、症状の項目とスケールなどが含まれる。

 ベースラインのQLQ-C30の15項目のスコアにおける治療群の差は7点以下であった。

 ベースライン以降のQLQ-C30のデータは、スニチニブ群86人中73人(85%)、プラセボ群85人中71人(84%)で入手可能であった。

 全体の健康関連QOLは、ベースラインからの変化(平均)に両群で差はみられなかった。

 しかし、下痢はスニチニブ群37.19点、プラセボ群15.81点、差は21.38点で有意差を認めた(p<0.0001)。不眠についてはスニチニブ群32.61点、プラセボ群24.86点、差は7.75点でこちらも有意差を認めた(p=0.0372)。

 その他の機能や症状については両群に差はみられなかった。5つのスケールのうち、感情と身体の機能の2つのスケールと、全体的な健康関連QOLは、スニチニブ群で悪化までの時間が有意に延長していた。理由として、スニチニブ群でPFSとOSが延長したためと考えられた。