転移性大腸癌で治療歴がある患者に対し、ダサチニブはFOLFOX、セツキシマブと安全に併用できると考えられ、推奨用量は100mgであることが、フェーズ1b試験の結果から示された。6月30日から7月3日までスペイン・バルセロナで開催された第12回世界消化器癌学会で、米MD Anderson Cancer CenterのS. Kopetz氏が発表した。

 非受容体型チロシンキナーゼSrcは大腸癌の進行期に活性を増強し、転移性大腸癌では化学療法に対する後天性の耐性メカニズムに関与する。

 Srcはオキサリプラチンによって急性・慢性に活性化され、また上皮成長因子受容体(EGFR)はリガンド結合がない状態でSrcにより活性化されることから、オキサリプラチンやセツキシマブとSrc阻害剤を併用することは、相乗効果につながると考えられる。

 Kopets氏らは、Srcなどのチロシンキナーゼを阻害するダサチニブとFOLFOX、セツキシマブとの併用療法について、単一施設によるオープンラベルのフェーズ1b試験で検討した。主要目的は、このレジメンの最大耐用量、用量制限毒性などを決定することであった。

 mFOLFOX6は標準量、セツキシマブは初回は400mg/m2、以後250mg/m2を週1回投与した。ダサチニブは1日1回経口投与し、100mg、150mg、200mgと増量し、3+3のデザインを用いてコホートを12人まで拡大した。腫瘍は4サイクル毎にRECIST基準で評価した。

 2007年5月から2009年7月までに、ECOG PS2未満、KRAS野生型、転移性大腸癌で全身化学療法施行後に進行を認めた患者30人(年齢中央値54歳、うち女性19人)が登録された。患者の97%に肝転移を認めた。

 前治療の回数は中央値で4回であった。EGFR阻害剤による治療を受けた患者は80%、そのうち再発を認めたのは77%。オキサリプラチンによる治療を受けた患者は97%、そのうち再発を認めたのは70%だった。

 用量制限毒性として、100mgと150mgでそれぞれグレード3と4の疲労感を認めた。その他のグレード3以上の毒性として、好中球減少症や胸水などが発現した。

 2サイクル以降のdose intensityは、骨髄抑制の遅延や進行性の疲労などから抑制される結果となった。ダサチニブ200mgの用量で継続したのは6人中1人、150mgの用量で継続したのは18人中5人だった。前治療が強度であった患者では、ダサチニブ150mgの用量で骨髄抑制の遅延が認められた。

 この結果から、フェーズ2試験で治療歴のある患者を対象にmFOLFOX6とセツキシマブとダサチニブを併用する場合、推奨用量は100mgとした。

 25人の患者で奏効の評価が可能であった。画像評価による腫瘍の縮小は、患者の24%に認めた。5FU、オキサリプラチン、セツキシマブで難治性であった患者の奏効率は17%だった。PFSの中央値は4.6カ月(95%信頼区間 3.0-5.5カ月)で、病勢コントロール率(DCR)は56%となった。

 この試験では、血液中のサロゲートバイオマーカーや肝生検ではSrc阻害を証明することはできなかったが、臨床的な活性は観察された。

 Kopetz氏らは、フェーズ2試験として、KRAS遺伝子が野生型の患者にはFOLFOXとセツキシマブとダサチニブ100mg(1日1回)の併用療法を、KRAS遺伝子が変異型の患者にはFOLFOXとダサチニブ100mgの併用療法を比較する試験を開始したと話した。