転移性膵腺癌に対するFOLFIRINOXレジメンは、標準治療のゲムシタビンと比べて全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)を有意に改善し、疾患が進行するリスクを53%減少させ、QOLの低下も抑える可能性があることがフェーズ3試験の結果から示された。毒性はやや高いものの管理可能と考えられた。6月30日から7月3日までスペイン・バルセロナで開催されている第12回世界消化器癌学会で、フランスCentre Alexis VautrinのThierry Conroy氏が発表した。

 膵腺癌は治癒が困難な疾患で治療選択肢は限定される。ゲムシタビン単剤での生存期間は中央値で6〜7カ月であるが、PSが良好な患者では併用化学療法で生存に関するベネフィットが得られることが示唆されている。

 Conroy氏らは、フェーズ3のProdige 4-ACCORD 11試験において、転移性膵腺癌に対し標準治療のゲムシタビンを投与する群と、過去のフェーズ2試験で奏効率(RR)がゲムシタビンを上回る結果を示したFOLFIRINOXレジメンを投与する群を比較した。主要評価項目はOS、副次的評価項目はRR、毒性、PFS、QOLとした。

 FOLFIRINOX群では、オキサリプラチン85mg/m2、ロイコボリン400mg/m2、イリノテカン180mg/m2、5FU400mg/m2のボーラス投与と同2400mg/m2を46時間持続投与し、2週間を1サイクルとした。

 一方のゲムシタビン群では、1000mg/m2を最初の8週のうち7週は毎週、その後は4週のうち3週に毎週投与した。

 2005年1月〜2009年9月までに登録され、膵腺癌が確認されたPS 0または1、細胞毒性の化学療法は未経験の患者が、FOLFIRINOX群とゲムシタビン群に無作為に171人(年齢中央値は両群とも61歳)ずつ割り付けられた。

 男女比、PSの分布、原発腫瘍の部位の割合は両群でほぼ同様であった。PS 0の割合はFOLFIRINOX群37.4%、ゲムシタビン群38.6%、PS 1はそれぞれ62%と61.4%だった。PS 2の患者はFOLFIRINOX群のみに0.6%含まれた。両群ともに測定可能な転移部位は肝臓が最も多く、80%を超えた。

 2カ月毎にCTを撮影し、各治療は両群ともに6カ月間行うことを推奨した。

 その結果、フォローアップ期間の中央値は26.6カ月で、OSの中央値はFOLFIRINOX群11.1カ月、ゲムシタビン群6.8カ月で、有意にFOLFIRINOX群で延長した(p<0.0001)。ハザード比は0.57となった。

 完全奏効(CR)はFOLFIRINOX群0.6%、ゲムシタビン群0%であったが、部分奏効(PR)は31%と9.4%で有意差を認めた(p=0.0001)。CRとPRと安定状態(SD)を合わせた病勢コントロール率はFOLFIRINOX群70.2%、ゲムシタビン群50.9%であった(p=0.0003)。

 PFSの中央値は、FOLFIRINOX群6.4カ月、ゲムシタビン群3.3カ月であった(p<0.0001)。 

 安全性はFOLFIRINOX群167人、ゲムシタビン群169人で解析され、両群で1人ずつ毒性による死亡を認めた。有熱性の好中球減少症の発現はFOLFIRINOX群5.4%、ゲムシタビン群0.6%で、有意に前者で高かった(p=0.0009)。嘔吐、疲労感、下痢も有意にFOLFIRINOX群で高かったが、最初の4カ月間の下痢を除き、両群でQOLに差はみられなかった。

 QOLが低下するまでの期間は、ゲムシタビン群よりもFOLFIRINOX群で延長していた。

 Conroy氏は「FOLFIRINOXレジメンを適用する際には慎重な患者の選択、指導、モニタリング、積極的な管理が必要。この併用療法を補助療法の設定で検討する予定」と話した。