PAM50の再発リスク(ROR)スコアによって、閉経後ホルモン受容体陽性(ER+)患者の晩期遠隔再発リスクを層別化することで、ホルモン療法の延長が必要な患者を予測できる可能性が示された。trans ATAC試験、ABCSG8試験の統合解析によって明らかになったもので、12月10日から14日まで米国サンアントニオで開催されたSan Antonio Breast Cancer Symposium(SABCS)において、英国Queen Mary UniversityのIvana Sestak氏が報告した。

 ホルモン受容体陽性(ER+)乳癌では、5年のホルモン療法後も再発リスクが残されている。ホルモン療法の延長が有益な患者がいる一方で、再発リスクが低く、ホルモン療法延長がむしろ負担となる患者も存在することから、晩期再発リスクを予測するバイオマーカーが求められている。

 いくつかの分子スコアが有用である可能性が報告されており、Sestak氏らは、閉経後のER+乳癌を対象としたtrans ATAC試験、ABCSG8試験それぞれで、PAM50のRORスコアが晩期再発リスク予測に有用であることを報告してきた。今回、RORスコアが晩期遠隔再発リスク予測にも有用であるかどうかを、両試験の統合解析によって検討した。

 対象は、組織が採取されているtrans ATACの1125例、ABCSG-81478の1620例のうち、RNA不十分あるいはPAM50の品質管理条件を満たさないもの、さらには5年以内に再発していたものを除外したtrans ATACの 862例、ABCSG-8の1275例、計2137例。組織標本と長期予後成績から検討した。

 追跡期間中央値はともに10年、約40%が65歳以上で、ABCSG-8でリンパ節転移例がより多かったが(24.9対26.8%)、転移数が4以上の患者はtrans ATACの方が多く(数値示されず)、組織学的グレードの不良例も17.2%含まれており、より多くの遠隔再発が発生していた(80例9.3%対68例5.3%)。

 RORスコアが75パーセンタイルの女性は、25パーセンタイルの女性と比較して、5年以降の遠隔再発リスクが2.7倍(HR 2.69、95%信頼区間:2.12-3.43)だった。trans ATAC試験のデータセットから開発されたClinical Treatment Score(CTS:リンパ節転移、グレード、腫瘍サイズ、年齢、治療情報から予後を予測)が75パーセンタイルの女性は、25パーセンタイルの女性と比較して、ほぼ2倍遠隔再発リスクが高く(HR 1.96、95%信頼区間:1.73-2.21)、今回のデータセットでも有用と考えられた。尤度比検定では、予測能はCTSの方が優れていたが、Sestak氏によれば、今回のデータセットのリンパ節転移と、腫瘍サイズの影響が大きい可能性がある。

 続いて、RORスコアでリスク層別化したところ、10年遠隔再発リスクは、低リスク群1183例で2.4%、中リスク群538例で8.3%、高リスク群416例では16.6%だった。低リスクに対する中リスクのハザード比[HR]は3.26(95%信頼区間:2.07-5.13)と3倍以上、高リスクはHR6.90(95信頼区間:4.64-10.47)で約7倍にも上った。分子サブタイプ別では、luminal A 1530例の4.1%に対して、luminal Bは12.9%でHR2.89(95%信頼区間2.07-4.02、p<0.001)と、リスクが約3倍であることも示された。

 年間ハザード比は、低リスク群では5〜10年までほぼ0.5%で変動なく推移した一方、高リスク群は約3.5%で、7年にピークを認めた。

 多変量解析では、RORスコアが、全患者(2137例、HR2.07)のみならず、リンパ節転移陽性(1580例、HR2.11)、陰性(557例、HR2.19)、HER2陰性(1974例、HR2.19)、リンパ節転移陰性/HER2陰性(1455例、HR2.41)のすべてのサブグループにおいて、一貫して、予後予測に有用であることが示された。

 Sestak氏は、「今回の結果は、RORスコアによるリスク層別化を行うことで、ホルモン療法を5年以降も継続すべき患者を同定できることを示している」とした。