術前化学療法(NAC)を施行したトリプルネガティブ乳癌またはホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性乳癌患者において、残存腫瘍量(RCB)の評価は、5年生存と10年以降の生存を予測する有効な因子だった。米国M.D.アンダーソン癌センターのW.Fraser Symmans氏らが、米国サンアントニオで12月11日から14日まで開催されたサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS2013)で発表した。

 テキサス大学M.D.アンダーソン癌センターはRCBを計算するツールの「Residual Cancer Burden Calculator」を開発し、ウェブサイト上で公開している。RCBは、原発巣の情報(腫瘍サイズ、細胞充実性、腫瘍占有率)とリンパ節転移の情報(リンパ節陽性個数、最大転移巣の直径)の情報をもとに自動算出される。また、RCB分類は、最少 (RCB-I)、中間(RCB-II)、広範(RCB-III)の3つに分けられる。

 今回Symmans氏らは、NACを実施した乳癌患者の3つのコホートを2013年まで追跡した結果を報告した。 

 解析対象コホートは、(1)術前T/FAC療法コホート241例(パクリタキセルを週1回×12回もしくは週3回×4回、その後FAC療法:5-FU、ドキソルビシン、シクロホスファミド)、(2)術前FAC療法検証コホート141例(FAC療法週3回投与×4回)、(3)術前T/FAC療法検証コホート303例(パクリタキセル週1回×12回、その後FAC療法週3回×4回)。

 解析対象はそれぞれ219例、131例、272例だった。

 3つのコホートの患者背景は、臨床ステージIIが52-82%、臨床ステージIIIは9-48%。T/FAC療法の2つのコホートにおけるHER2陽性患者はそれぞれ23%、19%、トリプルネガティブ乳癌は21%、29%、HR陽性かつHER2陰性患者は56、52%だった。

 追跡期間中央値は、T/FAC療法コホートが12.7カ月、FAC療法検証コホートが16.4カ月、T/FAC療法検証コホートは8.3カ月。

 トリプルネガティブ乳癌における無再発生存(RFS)割合を解析した結果、RCBは予後を予測する有意な因子だった(p<0.001)。pCR群とRCB-I群は予後良好だったのに対し、RCB-III群は有意に予後が不良だった。また、再発または死亡ハザード比の経時変化を見ると、pCR/RCB-I群は診断時から長期にわたり予後良好だった。一方、RCB-III群は診断早期におけるリスクが高いが徐々に低下し、診断から6年後には他の群と同程度のリスクだった。

 HR陽性HER2陰性患者においても、RCBは5年時点、10年時点においても有意な予後予測因子だった(p<0.001)。4群のRFSカーブは時間の経過とともに分かれていき、RCB-I、pCR、RCB-II、RCB-IIIの順に予後良好だった。また、再発または死亡のハザード比の経時変化は、RCB-III群が診断から4年まで徐々に増加したが、5年以降は減少し続けた。RCB-II群も診断0年から5年にかけてゆるやかに上昇したが、その後低下した。

 HER2陽性患者においてもRCBは、5年時点、10年時点で有意な予後予測因子で(p<0.001)、pCR、RCB-I、RCB-II、RCB-IIIの順に予後良好だった。また、再発または死亡のハザード比の経時変化はトリプルネガティブ乳癌のパターンと同様で、pCR/RCB-I群は診断時から長期にわたり予後良好だったが、RCB-III群は早期のリスクが高かった。

 次に、多変量解析でRFSの有意な予後予測因子を検討したところ、トリプルネガティブ乳癌ではRCB(ハザード比2.19)、pCR(ハザード比0.17)が抽出された。だが、pCRにRCBの情報を組み合わせると有意差な因子ではなかった。

 HR陽性HER2陰性乳癌では、pCR+RCB(同5.11)、臨床ステージ(同2.62)、RCB(同2.47)、多巣性(同1.75)などが抽出。HER2陽性乳癌におけるRFSの有意な因子は、多巣性(同2.61)、多巣性+RCB(同2.16)、pCR(同0.21)だった。

 これらの結果からSymmans氏は、「RCBは全てのコホート、全てのサブグループにおいて5年、10年以上の予後を予測する有意な因子だった。予後良好なトリプルネガティブ乳癌はpCRとRCB-Iで予測可能で、HR陽性HER2陰性乳癌ではpCRにRCBを組み合わせると予後予測能が向上した」とまとめた。