術前化学療法(NACT)後に遺残腫瘍が認められた乳癌患者に、術後補助療法としてゾレドロン酸を投与した無作為化フェーズIII NATANスタディのデータが初めて公表された。中間解析の結果は、この治療の生存利益を示せなかった。独German Breast Groupの会長でFrankfurt大学の婦人科の教授でもあるGunter von Minckwitz氏が、詳細をSABCS2013で12月13日に口頭発表した。

 NACT後に腫瘍の遺残がある場合、化学療法抵抗性の乳癌と見なされる。そうした患者の長期的な転帰は、遺残腫瘍が無い患者より不良で、治療の選択肢も少ない。エストロゲン枯渇耐性乳癌の患者については、ビスホスホネートを術後に投与すると再発リスクが下がる可能性が示されていた。そこで研究者たちは、遺残腫瘍あり患者にゾレドロン酸を用いた術後補助療法を適用し、無病生存率の向上が見られるかどうかを調べるフェーズIII試験を行った。

 ステージIIまたはIIIで、アントラサイクリン-タキサンベースのNACTを4サイクル以上受けたが、乳房と/または腋窩リンパ節に浸潤性の遺残腫瘍が認められた患者(ypT1-4またはypN+)を93施設で登録した。それらを手術から3年以内に、ゾレドロン酸4mgの静注(当初6カ月間は4週間に1回、その後2年間は3カ月に1回、それ以降の2.5年は6カ月に1回投与)+1000mgカルシウムと880I.U.ビタミンDを5年間投与、または観察に、無作為に割り付けた。

 さらに登録患者のうち、ホルモン受容体(HR)陽性で閉経後の患者にはレトロゾール、閉経前ならタモキシフェンを5年間投与。HER2陽性乳癌患者に対する術後補助療法へのトラスツズマブの適用が可能になった2007年以降は、条件を満たした患者に1年間この薬剤を適用した。

 主要転帰評価指標は、無病生存率(再発、新たな癌の発生、死亡無しの生存)に、2次評価指標は全生存率、毒性などに設定されていた。

 2005年2月から2009年5月までに693人の患者を登録。年齢の中央値は50.9歳(レンジは33.7-88.2)、72.3%が閉経後で、82%がHR陽性、19%がHER2陽性だった。

 343人をゾレドロン酸に、350人を観察に割り付けた。

 追跡期間中のイベント(再発、新たな癌の発生、死亡)の発生件数は試験設計段階で予測したレベルの約半分だった。

 追跡期間の中央値が48カ月、154件のイベントが発生した時点で中間解析を実施した。得られたデータが無益性を示したため、試験は継続されない見込みとなった。

 無病生存率に有意差は無く、観察群と比較したゾレドロン酸群の無病生存のハザード比は0.960(95%信頼区間:0.709-1.30、ログランク検定のp=0.7885)だった。サブグループ解析も行ったが、有意な交互作用が見られたグループはなかった。

 全生存率も有意差を示さなかった(ログランク検定のp=0.4082)。

 安全性については新たな問題は認められなかった。

 NACT後も遺残腫瘍が見られた早期乳癌女性に対する、術後のゾレドロン酸投与の利益は示せなかった。研究者たちは今後も、登録患者の追跡を継続する計画だ。