いくつかの固形癌に対する活性が示されていた選択的オーロラAキナーゼ(AAK)阻害剤MLN8237が、再発・難治性乳癌においても良好な抗腫瘍活性を有し、50mg1日2回、7日間投与(21日1サイクル)の用量設定で、毒性についても管理可能であることが明らかになった。数種の固形癌を対象に進められているフェーズ1/2 試験(NCT01045421)の乳癌に対するフェーズ2試験で明らかになったもの。12月10日から14日まで米国サンアントニオで開催されたSan Antonio Breast Cancer Symposium(SABCS)において、チェコ共和国Lekarska fakulta Univerzity Palackeho a Fakultni nemocnice OlomoucのBohuslav Melichar氏が発表した。

 AAKは有糸分裂を制御する重要なキナーゼで、乳癌を含む腫瘍においてしばしば増幅あるいは過剰発現している。MLN8237は経口の選択的AAK阻害剤で、進行癌患者において単剤または他剤との併用で評価が進められている。乳癌に対するフェーズ2の結果が報告された。

 主な登録基準は、年齢18歳以上の再発・難治性乳がん、組織型はHER2+またはトリプルネガティブ、ECOG PS 0-1、RECIST v1.1の測定可能病変、殺細胞性化学療法による前治療4レジメン以下、(アジュバント、ネオアジュバントを含まず、ホルモン療法、HER2標的治療、免疫あるいは生物学的製剤は制限しない)。有症状の脳転移症例は除外した(治療により安定していれば可)。

 ステージ1では評価可能20例の登録を目指し、20例中2例以上で反応が見られれば、さらに25例の評価可能例を登録するステージ2へと進んだ。患者はMLN8237 50mg1日2回を7日間、21日サイクルで投与された。主要エンドポイントは奏効率(ORR)、副次エンドポイントは安全性、反応持続時間(DOR)、無増悪生存(PFS)とした。

 2013年9月において53例が登録され、評価可能だった49例(92%:ER+HER2− 26例、HER2+ 9例、トリプルネガティブ14例)について有効性の解析を行った。データカットオフは2013年9月。

 治療期間中央値は、全例で3.2(0.2-20.0)カ月、ER+/HER2−は5.4(0.2-20.0)カ月、HER2+は3.7(0.2-14.6)カ月、トリプルネガティブは1.1(0.2-9.6)カ月。

 全例のORRは18%(PR9例)。ER+/HER2−は23%(PR6例)、HER2+は22%(PR2例)、トリプルネガティブ1%(PR7例)。反応期間中央値は全例で5.6カ月、 ER+/HER2-は4.2カ月、HER2+は11.2カ月、トリプルネガティブ4.1カ月、PFS中央値は全例で5.4カ月、 ER+/HER2-7.9カ月、HER2+は4.1カ月、トリプルネガティブ1.5カ月だった。

 安全性については登録された54例を解析対象とし、データカットオフは2013年6月。有害事象(全グレード)が51例(96%)に、グレード3以上の有害事象が44例(83%)に認められた。薬剤関連有害事象(全グレード)は51例 (96%)で、薬剤関連のグレード3以上の有害事象38例(72%)だった。重大な有害事象は23例(43%)、試験中止に至った有害事象は2例(4%)で、死亡例はなかった。

 多く認められた有害事象は好中球減少29例(55%)、脱毛26例(49%)、下痢24例(45%)、疲労23例(43%)、口内炎22例(42%)など。グレード3以上で多かったものは、好中球減少26例(49%)、白血球減少14例(26%)だった。

 探索的研究として、反応性とバイオマーカーとの関連性の評価が進められている。また、遺伝子変異と臨床反応との関連性を明らかにするために、いくつかの腫瘍組織について全エキソームの配列決定が完了している。ただし乳癌については、組織標本が残されているものがPRを得た14例中1例のみであったため、反応性との関係についての評価は行われなかった。