トラスツズマブに抵抗性でタキサンによる治療歴があるHER2陽性進行乳癌患者に対し、トラスツズマブとビノレルビンにエベロリムスを追加することは、アジア人でも有効で安全なことが明らかとなった。フェーズ3試験BOLERO-3のアジア人の解析で示されたもの。12月10日から14日まで米国サンアントニオで開催されているサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS2013)で、京都大学の戸井雅和氏によって発表された。

 BOLERO-3試験には、日本を含む21カ国から159施設が参加した。同試験の対象は、局所進行または転移を有するHER2陽性進行乳癌で、タキサン系抗癌剤による前治療を受け、トラスツズマブによる治療で再発または進行を認めた患者とした。トラスツズマブ+ビノレルビンに加えて、エベロリムス(エベロリムス群)またはプラセボ(プラセボ群)を併用する群に、患者を1対1でランダムに割り付けた。進行または受容不能な毒性の発現まで治療を継続した。

 トラスツズマブは初回は4mg/kg、2回目以降は2mg/kgを週1回、ビノレルビンは25mg/m2を週1回、エベロリムスは5mgを毎日投与した。同試験の主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)、副次的評価項目は全生存期間(OS)、奏効率、ECOG PS悪化までの期間などだった。層別化因子は前治療におけるラパチニブの使用だった。

 全体では2009年10月から2012年5月までに569人が登録され、エベロリムス群284人(年齢中央値55歳)、プラセボ群285人(同54歳)となった。このうちアジア人はエベロリムス群が88人(同52歳)、プラセボ群(同53歳)だった。

 患者の背景はアジア人と非アジア人で同様だった。アジア人のエベロリムス群とプラセボ群において、ECOG PS 1または2の患者はそれぞれ33%と32%、エステロゲン受容体陽性の患者は50%と44%だった。

 アジア人でも前治療として、トラスツズマブ、タキサン系抗癌剤は両群ともに100%の患者に投与されており、ラパチニブはエベロリムス群20%、プラセボ群28%に投与されていた。

 主要評価項目であるPFSは、アジア人ではエベロリムス群が8.28カ月、プラセボ群6.77カ月、ハザード比は0.83(95%信頼区間:0.59-1.18)で有意ではないが延長効果が認められた(p=0.1531)。非アジア人ではエベロリムス群が6.93カ月、プラセボ群5.55カ月、ハザード比は0.77(95%信頼区間:0.61-0.97)で有意な差があった(p=0.0132)。

 戸井氏によると、アジア人では症例数が少なかったために有意とならなかったと考えられるという。

 アジア人における奏効率は、エベロリムス群40%、プラセボ群37%で、非アジア人ではエベロリムス群41%、プラセボ群37%だった。

 副作用もアジア人と非アジア人で大きな差は認められなかった。アジア人で増加が懸念されていた肺炎、間質性肺炎についても特に顕著な増加はなかった。