米国で処方されている癌治療薬の約25%が内服薬になっている。患者が適切に使用を継続する壁になるのが医療費だ。乳癌患者に対するホルモン療法に用いられるアロマターゼ阻害薬(AI)には後発品が登場、安価に使用できるようになった。AI後発品の処方と服薬遵守、治療継続との関係を調べた米Columbia大学医療センターなどの研究者たちは、後発品が好ましい影響を及ぼしたことを明らかにした。同大学のDawn L. Hershman氏がSABCS2013で12月12日に口頭発表した

 早期乳癌患者のホルモン療法不遵守は少なくないが、全生存期間の短縮に関係するため、服薬遵守率を高めることが大切だ。不遵守に関係する要因としては、患者の特性、毒性、自己負担の金額などが想定される。それらの中で今回研究者たちが注目したのはコストだ。先頃行われた調査でも、癌患者の45%が薬剤費は不遵守の原因になると答えていた。後発医薬品は安価で、自己負担も少ないため、遵守率の向上や使用継続に貢献すると期待される。

 Hershman氏らは、実際にそうした利益があったのかどうかを明らかにするために、保険会社であるOptumInsight社から個々の患者の情報を入手、分析した。

 2007年1月1日から2011年12月31日までにホルモン療法を開始した50歳超の早期乳癌患者で、メールオーダー方式で2回以上ホルモン療法薬の調剤を求めた人々の調剤と医療費請求に関するデータを得た。変数として、人口統計学的要因、臨床情報、世帯収入、保険の種類、co-pay(処方箋を受け取る際に毎回支払うことになる一定金額)などに関する情報も得た。

 ホルモン療法は、タモキシフェン(TM)と、アロマターゼ阻害薬(AI)先発品、後発品にわけた。使用中止は、調剤の間隔から考えて、まったく使用しない期間が45日以上あったと見なされる場合、服薬不遵守はMPR(治療開始から1年間の処方薬量に対する実際に使用した薬量の割合)が80%未満と定義した。1カ月のco-payの金額は10ドル未満、10ドル以上20ドル以下、20ドル超に層別化した。

 計1万3522人の患者の情報が得られた。

 薬剤ごとのco-pay金額の平均は、TAMが7.74ドル、AI後発品が9.04ドル、AI先発品が33.3ドルだった。

 ホルモン療法開始時期がAI後発品が登場した2009年7月より前だった患者と、それより後だった患者に分けて、使用した薬剤を調べたところ、2007-2009年にはTAMでホルモン療法を開始した患者が45%、AI先発品は55%だったが、2010-2011年にはそれぞれ42.6%と19.1%になり、AI後発品が38.3%を占めていた。

 AI先発品を参照として使用中止の多変量調整ハザード比を求めたところ、AI後発品が0.62(0.51-0.76、p<0.001)で、使用中止リスクは有意に低く、TAMは0.93(0.79-1.09、p=0.40)で、AI先発品との間に有意差を示さなかった。Co-pay金額については10ドル未満を参照として使用中止のハザード比を推定。10-20ドルは1.21(1.08-1.35、p<0.001)、20ドル超では1.59(1.34-1.88、p<0.001)で、金額が増えるに従って使用中止も増えていた。

 調整カプランマイヤー曲線も、継続率はAI後発品が高いこと(p<0.001)、co-payが少ない方が継続率は高いこと(p<0.001)を示した。

 次に、服薬遵守について、多変量調整ハザード比を求めた。AI先発品に比べAI後発品は1.37(1.09-1.74、p<0.001)で不遵守リスクが有意に低かった。TAMの場合には0.68(0.56-0.83、p<0.001)となった。Co-pay金額が10-20ドルの場合のハザード比は0.84(0.73-0.96、p<0.01)、20ドル超は0.55(0.45-0.67、p<0.001)で、金額が増えるに従って不遵守リスクも上昇した。世帯収入と服薬遵守との関係も調べた。4万ドルを参照とすると、4万-10万ドルは1.15(0.98-1.36、p=0.09)、10万ドル超は1.38(1.11-1.69、p=0.003)で、収入が多いと不遵守リスクは有意に低下することが明らかになった。

 得られた結果は、自己負担高額は不遵守と使用中止の独立した危険因子であり、AI後発品は服薬遵守と治療継続に有意に関係することを示した。Hershman氏は、ホルモン療法不遵守は死亡リスク上昇に関係するため、金銭的なハードルを低くすべきだと述べた。