転移あるいは局所再発トリプルネガティブ乳癌(TNBC)に対する1次または2次治療として、パクリタキセル+ベバシズマブにMET阻害剤Onartuzumabを加えても無増悪生存(PFS)、全生存(OS)は改善しないことがわかった。多施設共同ランダム化プラセボ対照二重盲検フェーズ2試験OAM4861gで示されたもので、12月11日から14日まで米国サンアントニオで開催されているSan Antonio Breast Cancer Symposium(SABCS)において、フランスInstitut CurieのVeronique Dieras氏が発表した。

 METの過剰発現は、TNBCの予後不良に関係しているとされる。METの活性化は、VEGF発現をアップレギュレートすることによって血管新生にも関与している。

 Onartuzumabは遺伝子組換え一価ヒト化抗METモノクローナル抗体で、リガンドであるHGFのMETへの結合と活性化を阻害する。MET高発現(IHC2+/3+)の非小細胞肺がん(NSCLC)では、エルロチニブとの併用によって、エルロチニブ単剤と比較してPFS、OSを改善することが示されている。

 登録基準は、18歳以上でECOG PS 0-1の転移または局所再発TNBC、転移疾患に対する治療は1ラインまで、転移再発の診断後にタキサン/抗VEGF抗体の投与なし、CNSへの転移/心疾患/コントロール不良の高血圧なし、腫瘍組織標本ありとした。

 2011年3月から2012年7月までに米国30施設、欧州37施設から185例が登録され、パクリタキセル(90mg/m2、第1、8、15日)+ベバシズマブ(10mg/kg、第1、15日)+Onartuzumab(10mg/kg、第1、15日)(P+B+O群)63例、P+O+プラセボ(P+O群)60例、P+B+プラセボ(P+B群)62例に無作為割付された。治療は28日を1サイクルとし、24カ月または増悪(PD)、または許容できない毒性または死亡まで継続した。データカットオフは2013年3月。

 患者背景は、年齢53.0(30-79)歳で18-40歳が24例(13.0%)、41-64歳(69.7%)、65歳以上32例(17.3%)、1次治療142例(76.8%)、2次治療43例(23.2%)、転移巣の数は3未満が105例(56.8%)、3以上80例(43.2%)で、3群間に差はなかった。

 MET IHCスコア(50%カットオフ)は、0/1+/2+/3+=81例(43.8%)/75例(40.5%)/21例(11.4%)/1例(0.5%)で、7例(3.8%)はデータ消失。NSCLCの1587例を対象としたフェーズ3試験では0/1+/2+/3+=9%/42%/38%/11%と報告されている。今回対象となったTNBCでは、多くがMET IHC 0/1+であり、NSCLCと比較して高発現例の割合が低かった。

 ITT解析でのPFS中央値は、P+B+O群で7.3カ月(95%信頼区間:5.68-7.82)、P+O群5.4カ月(95%信頼区間:3.75-5.55)で、P+B群7.2か月(95%信頼区間:5.52-9.26)に対するハザード比はP+B+O群1.08(95%信頼区間:0.69-1.70)で改善は認められず、P+O群では1.74(95%信頼区間:1.13-2.68)でP+B 群に及ばなかった。

 OS中央値は P+B+O群で14.7カ月(95%信頼区間:10.58-NE)、P+O群13.4カ月(95%信頼区間:9.76-NE)で、P+B 群の17.4か月(95%信頼区間:12.55-NE)に対するハザード比はP+B+O群1.35(95%信頼区間:0.74-2.44)、P+O群では1.91(95%信頼区間:1.02-3.57)で、いずれもP+B群に及ばなかった。

 有害事象の大部分はパクリタキセル、ベバシズマブで認められる一般的なものだったが、Onartuzumabによって末梢浮腫が増加し、P+B群では1例も認められなかったのに対して、P+B+O群では36例(56.1%)、P+O群では34例(58.6%)で認めた。グレード3-5の有害事象はP+O群(29例50.0%)、P+B群(38例61.3%)と比較してP+B+O群(44例71.0%)で多く認められた。

 Dieras氏は、「残念ながらネガティブな試験となりフェーズ3試験に進むことはない。MET低発現と高発現の患者で比較しても、PFS、OSに違いはなかったが、MET高発現の患者数が少ないため、これについては、何らかの結論を言えるものではない。今後は、TNBCにおけるMETの役割をより理解すべく、基礎的な研究に立ち戻るとともに、MET高発現の患者の予後に注目していきたい」と述べた。