センチネルリンパ節生検陰性だった乳癌患者を10年間追跡した結果、潜在性センチネルリンパ節転移はセンチネルリンパ節生検のみ実施した患者の15.3%、腋窩リンパ節郭清を実施した患者の16.4%で認められた。また、潜在性センチネルリンパ節転移の有無は10年生存(OS)率に有意差を与えなかったことから、腋窩リンパ節郭清を実施するメリットは示されなかった。前向き無作為化フェーズ3試験NSABP B-32の10年間の追跡結果によるもので、米国National Surgical Adjuvant Breast and Bowel ProjectのThomas B Julian氏らが、米国サンアントニオで12月10日から14日まで開催されているサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS2013)で発表した。


 NSABP B-32は、臨床的腋窩リンパ節転移陰性の患者5611人を、センチネルリンパ節生検と腋窩リンパ節郭清どちらも実施する群(SNR+AD群)とセンチネルリンパ節生検のみ実施する群(SNR群)の2群に無作為に割り付け、OS、無病生存(DFS)、罹患率について比較した前向きの無作為化フェーズ3試験。

 10年間の追跡結果は2012年に発表されており、SNR+AD群のOS率は89%、SNR群は88%で両群間に有意差はなかった(ハザード比1.09、p=0.35)。また、DFS(ハザード比1.02、p=0.72)、遠隔DFS率(ハザード比1.09、p=0.29) 。累積局所再発率(ハザード比0.96、p=0.77)についても有意差はなかった。

 今回Julian氏らは、SNR+AD群(2807人)とSNR群(2804人)のうちセンチネルリンパ節生検陰性だった患者(1975人、2011人)について、潜在性センチネルリンパ節転移の状況を10年間追跡したデータを発表した。

 センチネルリンパ節陰性患者は3989人で、3986人(99.9%)について追跡可能だった。登録時年齢が60歳はSNR+AD群の42.2%、SNR群の41.7%、腫瘍サイズが2cm以下はそれぞれ83.5%、84.2%。生存患者における追跡期間中央値は121.8カ月。

 センチネルリンパ節陰性患者(3986人)を10年間追跡した結果、潜在性センチネルリンパ節転移が認められた患者は合計616人で、SNR+AD群の16.4%(316人)、SNR群の15.3%(300人)を占めた。

 潜在性センチネルリンパ節転移の有無別の10年生存率は、潜在性センチネルリンパ節転移のない患者が89%、潜在性センチネルリンパ節転移がある患者は85.9%で、有意差はなかった(ハザード比1.26、p=0.06)。

 一方、10年DFS率については両群間に有意差が認められた(ハザード比1.24、p=0.01)。潜在性センチネルリンパ節転移のある患者の10年DFS率は73.1%に対し、潜在性センチネルリンパ節転移のない患者は77.8%だった。10年累積局所再発率は、両群間で有意差はなかった(5.3%対3.9%、ハザード比1.32、p=0.17)。

 また、潜在性センチネルリンパ節転移があった患者(616人)における10年OS率は、SNR+AD群が85.2%、SNR群が86.7%(ハザード比0.98、p=0.91)、累積局所再発率はそれぞれ6.3%、4.2%(ハザード比0.8、p=0.52)でいずれも有意差がなかった。

 最初の再発部位を見ると、潜在性センチネルリンパ節転移がない患者においてはSNR+AD群、SNR群ともに局所が最も多く(それぞれ3.8%、3.3%)、腋窩はそれぞれ0.1%、0.4%だった。また潜在性センチネルリンパ節転移がある患者においても同様で、局所がSNR+AD群、SNR群ともに最も多く(それぞれ5.1%、2.7%)、腋窩はそれぞれ0.6%、0.1%だった。

 これらの結果からJulian氏は、潜在性センチネルリンパ節転移に対し、腋窩リンパ節郭清のメリットは示されなかった。また、定期的なIHC法によるセンチネルリンパ節生検は推奨されないと指摘した。