化学療法に奏効した転移性乳癌患者に対する局所治療として原発巣切除腋窩リンパ節郭清を実施しても、局所治療を実施しなかった患者と比べ、全生存(OS)を改善しなかったことが報告された。無作為化比較試験の結果によるもので、インドTata Memorial CentreのRajendra Badwe氏らが、米国サンアントニオで12月11日から14日まで開催されているサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS2013)で発表した。

 マウスを用いた研究から、原発巣を切除すると転移巣の増殖を促進する可能性が報告されている。一方、複数の後ろ向き解析結果からは、局所治療の有効性が報告されている。しかし、これらの結果には選択バイアスが存在する。

 そこでBadwe氏らは、転移性乳癌と診断された患者を対象に、原発巣と腋窩リンパ節を切除した際の有効性を評価する無作為化比較試験を実施した。

 対象はアントラサイクリン(±タキサン)の化学療法で完全奏効(CR)もしくは部分奏効(PR)が得られた転移性乳癌患者350人。転移箇所(内臓、骨、内臓+骨)、転移個数(3個以下、3個超)、エストロゲン受容体(ER)/プロゲステロン受容体(PgR)の発現状態(陽性、陰性)を踏まえ、局所治療を実施する群(局所治療群、173人)と局所に限らない治療を行う群(非局所治療群、177人)の2群に無作為に割り付けた。

 局所治療群(173人)は、乳房温存術もしくは乳房切除術に鎖骨上リンパ節郭清を実施した後に放射線治療を実施した。必要に応じて ホルモン療法を実施したほか(102人)、適用があれば卵巣切除を実施した(40人)。

 非局所治療群(177人)は手術、放射線治療を実施せずに追跡した。必要に応じてホルモン療法を実施したほか(106人)、適用があれば卵巣切除を実施した(34人)。

 主要評価項目は全生存(OS)、副次評価項目は無増悪生存(PFS)。

 年齢中央値は47歳、閉経前患者は162人、転移箇所は骨が100人、内臓が98人、骨+内臓が152人、転移個数が3個超は261人、ER/PgR陽性は208人だった。

 局所治療群の5.2%は局所治療を実施できなかった。非局所治療群の10.2%は緩和ケアとして原発巣切除を実施した。268人(77%)が死亡した。

 主要評価項目の3年OS率は、局所治療群が19.2%、非局所治療群が20.5%で両群間に有意差はなかった(ハザード比は1.04、95%信頼区間:0.80-1.34)。

 局所PFSは、非局所治療群と比べ、局所治療群が有意に予後が良好だった(ハザード比0.16、95%信頼区間:0.10-0.26)。一方、遠隔PFSは局所治療群の方が有意に不良だった(ハザード比1.42、95%信頼区間:1.08-1.85)。

 これらの結果からBadwe氏は、「転移性乳癌と初期診断され、化学療法が奏効した患者において、原発巣を切除する局所治療はOSを改善しなかったことから、標準治療として実施すべきでない。原発巣切除は遠隔転移における有益性の点で検討の必要がある」と語った。