エストロゲン受容体(ER)陽性で術後にホルモン療法を受けた乳癌患者を対象に、晩期再発(手術から5年以降の再発)リスクを予測する要因の同定をめざした後ろ向き研究を行った九州がんセンターの大野慎司氏らは、リンパ節転移陽性またはT分類でT3が予測因子として有望である可能性を示したデータをSABCS2013で12月11日にポスター発表した。

 ER陽性乳癌で術後にホルモン療法を2-5年間受け、その後再発した患者の約半数は、手術から5年を過ぎて以降に再発と診断されている。ATLAS、aTTom、MA17といった大規模臨床試験の結果は、ER陽性患者に対するタモキシフェンまたはアロマターゼ阻害薬の投与を5年超継続することの利益を示唆した。個々の患者に対してホルモン療法を延長すべきかどうかを判断するためには、晩期再発のリスクを予測することが重要だ。そこで、手術の時点で得られる情報の中から、晩期再発を予測できる要因を探すために、大野氏らは、1995-2001年に九州がんセンターで治療を受けた乳癌患者の医療記録とデータベースの情報を利用した。

 ER陽性患者639人のうち、500人にタモキシフェンが2-5年間投与されていた。うち81人が手術から5年以内に再発、5年無病生存率(DFS)は82.8%になった。手術から5年を過ぎて以降10年目までの晩期再発は43人で、341人は再発を経験していなかった。ER陽性乳癌でホルモン療法を受けた患者の10年DFSは75.4%になった。

 晩期再発を経験した43人と再発を見なかった341人を合わせた384人を対象に、長期的な転帰と臨床病理学的要因の関係を分析した。

 手術の時点でリンパ節転移が無かった患者の5年時点から10年時点までのDFSは93.1%、転移陽性だった患者では84.3%(p=0.0065)になった。転移があったリンパ節の数で患者を層別化すると、5年時から10年時までのDFSは、0個(246人)が93.1%、1-3個(83人)が86.7%、4-9個(35人)が80.0%、10個以上(16人)では81.3%だった(p=0.0159)。

 腫瘍の大きさは5年時以降の転帰との間に有意な関係を示さなかった。5年時点から10年時点までのDFSは、T1(2cm以下)だった146人で91.8%、T2(2cm超で5cm以下)だった215人では89.8%、T3(5cm超)だった15人では80.0%(p=0.0334)(p=0.3702)。ただし、T1群とT3群を比較するとDFSの差は有意だった(p=0.0334)。

 得られたデータは、リンパ節転移陽性、またはT分類でT3だった患者の晩期再発リスクが高いこと、それらの患者はホルモン療法延長により利益が得られる可能性があることを示唆した。