4つの大規模研究で報告されている「乳癌死1人を救うためのマンモグラフィー実施数(NNS)」は、111から2000と、20倍もの開きがあった。これらをthe UK independent Breast Cancer Screening、Marmot Report(以下UK report)の条件に合わせて標準化し、レビューし直したところ、NNSは64から257で、マンモグラフィー実施によって将来の乳癌から救われる患者は、これまで考えられていたよりも多いことが示唆された。12月11日から14日まで米国サンアントニオで開催されているSan Antonio Breast Cancer Symposium(SABCS)において、米国American Cancer SocietyのRobert A. Smith氏が発表した。

 マンモグラフィーによるスクリーニングがベネフィットかハームかには議論がある。4つの大規模研究で、その議論の根拠ともいえる「乳癌死1人を救うためのマンモグラフィー実施数(NNS)」が報告されている。US review(2012)では追跡期間20年でNNS180、USPSTF, depending on age(以下USPSTF、2009)では15年追跡で377-1904、Nordic Cochrane Review(以下Nordic Review、2011)は10年追跡で2000、EUROSCREEN(2012)では30年追跡で90とされている。EUROSCREENとNordic Reviewには、実に20倍もの差がある。

 Smith氏らは、この違いの原因として、NNSを、スクリーニング実施数ではなく、スクリーニングを勧めた患者数(NNI: Number Needed to Invite)で計算している場合があること、追跡期間が異なることなどがあると指摘。最も最近のランダム化試験データを集積し、乳癌スクリーニングの議論について合意を導き出すために実施されたUK Reportの条件に合わせて、それぞれの値を計算しなおした。UK Reportでは、年齢50-70歳の女性に3年に1度スクリーニングを勧め、20年間スクリーニングをし、追跡は25年間行っている。55-79歳における乳癌死の絶対リスク計算のための相対リスクとして20%を採用し。NNIを235、NNSを180と報告している。

 たとえばスクリーニングのベネフィットについて最も悲観的な推定をしているNordic Reviewでは、相対リスク20%を、ランダム化の質を理由に15%とし、スクリーニング期間は10年、追跡期間も10年だ。相対リスクを20%に戻し、NNIをNNSとしたところ1000、さらに追跡期間を20年とするとNNSは600にまで低下した。乳癌発症率が比較的低い40-49歳の女性が多くを占めていたが、50-79歳で計算したところNNSは257となった。

 他の研究についても同様に調整したところ、USPSTFは60-69歳で337、50-69歳で193、EUROSCREENは64-96となった。

 Smith氏は、「標準的で適切な方法で評価することで、研究間の差は20倍から2倍にまで減少した。マンモグラフィーの有用性はなくなったわけではないようだ。この差をどう考えるかは、個々人の見解にもよるが、少なくとも、この知見によって、医師や患者の、マンモグラフィーによるスクリーニングの価値についての疑問が軽減することを願う。治療の進歩があまりに目覚ましく、乳癌死を防ぐ上で、画像診断の価値が薄れたように感じられたかも知れないが、画像技術も確実に進歩している。今後も重要な役割を担い続けていくべきだ」とまとめた。