ハイリスクHER2陽性のリンパ節転移陽性またはリンパ節陰性早期乳癌患者に、術後補助療法として化学療法、トラスツズマブに加えてベバシズマブを投与しても浸潤性疾患のない生存期間(IDFS)を改善しないことが明らかとなった。フェーズ3試験、BETHの結果示されたもの。12月10日から14日まで米国サンアントニオで開催されているサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS2013)で、米UCLAのSlamon DJ氏によって発表された。

 BETH試験は無作為化オープンラベルフェーズ3試験。リンパ節転移陽性またはハイリスクリンパ節陰性HER2陽性早期乳癌患者に術後補助療法として化学療法、トラスツズマブ(H)に加えてベバシズマブ(B)を投与する群と投与しない群に分けて行われた。また、化学療法は非アントラサイクリン系抗癌剤を用いる群(TCH→H、TCH→HB)とアントラサイクリン系抗癌剤を用いる群(TH→FEC→H、THB→FEC→HB)に分けられた。TCH→H群には1617人、TCH→HB群には1614人、TH→FEC→H群には140人、THB→FEC→HB群には138人が登録された。合計で化学療法-H群は1757人、化学療法-HB群が1752人となった。

 またハイリスクHER2陽性早期乳癌の定義は、リンパ節転移陽性患者と、病理学的腫瘍径が2.0cm超、エストロゲン受容体とプロゲステロン受容体が陰性、組織かつ/または核グレードが2または3、35歳未満のうちの少なくとも1つが当てはまるリンパ節陰性乳癌とされた。

 主要評価項目はIDFS。副次評価項目は化学療法の種類別のIDFS、無病生存期間(DFS)、全生存期間(OS)などだった。化学療法-H群、化学療法-HB群の患者背景に大きな差はなかった。

 試験の結果、患者全体のIDFSはイベント数は化学療法-H群が145件、化学療法-HB群が147件で、ハザード比1.00(95%信頼区間:0.79-1.26)、p=0.9789、観察期間中央値38カ月でのIDFS率は化学療法-H群、化学療法-HB群ともに92%で差がなかった。IDFSに関するサブグループ解析でも有意な差がついたものはなかった。

 患者全体のOSは、イベント数は化学療法-H群が62件、化学療法-HB群が54で、層別化ハザード比0.87(95%信頼区間:0.60-1.25)、p=0.4387、観察期間中央値38カ月でのOS率は化学療法-H群が96%、化学療法-HB群が97%で差がなかった。

 化学療法別のIDFSは、イベント数はTCH→H群が129件、TCHB→HB群が134件で、層別化ハザード比1.04(95%信頼区間:0.81-1.32)、p=0.7630、観察期間中央値38カ月でのIDFS率は両群ともに92%で差がなかった。TH→FEC→H群のイベント数が16件、THB→FEC→HB群が13件で、層別化ハザード比0.68(95%信頼区間:0.32-1.44)、p=0.3096、観察期間中央値38カ月でのIDFS率はTH→FEC→H群が89%、THB→FEC→HB群が91%で差がなかった。

 グレード3/4の非循環器毒性で有意な差がついたのは、発熱性好中球減少症(化学療法-H群が120件、化学療法-HB群が183件、p<0.0001)、貧血(化学療法-H群が141件、化学療法-HB群が94件、p=0.0023)、口内炎(化学療法-H群が11件、化学療法-HB群が34件、p<0.0001)、好中球減少性感染(化学療法-H群が36件、化学療法-HB群が57件、p=0.0268)だった。循環器毒性は全グレード、グレード3/4、重篤な副作用、投薬中止のいずれも化学療法-HB群の方が有意に多かった。高血圧、貧血、出血、蛋白尿などベバシズマブに関連する副作用は化学療法-HB群の方が有意に多かった。