2cm以上のHER2陽性乳癌に対して、術前、術後補助療法として抗HER2薬であるトラスツズマブラパチニブを併用した場合、ラパチニブのみやトラスツズマブのみと比べて、3年無イベント生存(EFS)率は良い傾向は示したものの有意な差はつかなかった。また、3年全生存率(OS)には差が認められなかった。一方、病理学的完全奏効(pCR)が得られた場合には、薬剤に関わらずpCRが得られなかった場合よりも有意にEFS、OSが良かった。フェーズ3試験NeoALTTOの結果、示されたもの。

 12月10日から14日まで米国サンアントニオで開催されているサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS2013)で、ベルギーJules Bordet InstituteのMartine Piccart-Gebhart氏によって発表された。

 Piccart-Gebhart氏は「NeoALTTO試験はpCRによる差の検出にはパワーがあったが、EFSとOSのわずかな差を検出するのにはパワー不足だった。HER2の二重阻害の長期間の効果に関する結果はALTTO試験で得られるだろう」とした。さらに、「約4年の観察期間中央値のデータと過去の観察結果から、HER2の二重阻害はHER2陽性/ホルモン受容体陰性患者で有用(pCR、EFS、OS)と見られる」とした。

 NeoALTTO試験は、浸潤性で手術可能なHER2陽性乳癌患者455人を登録して、いずれも抗HER2薬であるトラスツズマブとラパチニブを術前補助療法として併用した場合とそれぞれ単剤を投与した場合とを比較したもの。6週間は割り付け薬のみを投与し、その後は割り付け薬にパクリタキセルを追加して12週間投与した。術後には化学療法(FEC×3)に続いて、各群、術前で用いた抗HER2薬を34週投与した。

 主要評価項目であるpCR率については、併用群がそれぞれの単剤群に比べて明らかに高いことが既に報告されている。今回は併用によるpCR率の向上がEFS、OSに反映するかが検証された。層別化前解析が最後の乳癌手術後3年時点で行われた。臨床的な観察期間の中央値は3.77年(95%信頼区間:3.72-3.98)、生存に関する観察期間中央値は3.84年(95%信頼区間:3.77-3.98)だった。

 解析の結果、3年EFS率は全体で併用群が84%(トラスツズマブ単剤群に対するハザード比は0.78、p=0.33)、ラパチニブ単剤群が78%(トラスツズマブ単剤群に対するハザード比は1.06、p=0.81)、トラスツズマブ単剤群が76%だった。ホルモン受容体陽性患者の3年EFS率は併用群が83%(トラスツズマブ単剤群に対するハザード比は0.96、p=0.92)、ラパチニブ単剤群が86%(トラスツズマブ単剤群に対するハザード比は0.92、p=0.83)、トラスツズマブ単剤群が80%だった。ホルモン受容体陰性患者の3年EFS率は併用群が86%(トラスツズマブ単剤群に対するハザード比は0.65、p=0.22)、ラパチニブ単剤群が70%(トラスツズマブ単剤群に対するハザード比は1.16、p=0.64)、トラスツズマブ単剤群が72%だった。

 3年OS率は、全体で併用群が95%(トラスツズマブ単剤群に対するハザード比は0.62、p=0.19)、ラパチニブ単剤群が93%(トラスツズマブ単剤群に対するハザード比は0.86、p=0.65)、トラスツズマブ単剤群が90%だった。ホルモン受容体陽性患者の3年OS率は併用群が97%(トラスツズマブ単剤群に対するハザード比は0.42、p=0.21)、ラパチニブ単剤群が93%(トラスツズマブ単剤群に対するハザード比は0.91、p=0.87)、トラスツズマブ単剤群が94%だった。ホルモン受容体陰性患者の3年OS率は併用群が93%(トラスツズマブ単剤群に対するハザード比は0.74、p=0.47)、ラパチニブ単剤群が93%(トラスツズマブ単剤群に対するハザード比は0.84、p=0.66)、トラスツズマブ単剤群が87%だった。

 ランドマーク解析でpCR患者と非pCR患者のEFSを調べたところ、全体では3年EFS率はpCR患者が86%、非pCR患者が72%でハザード比は0.38、p=0.0003で有意な差があった。ホルモン受容体陽性患者では3年EFS率はpCR患者が87%、非pCR患者が78%でハザード比は0.50、p=0.13で有意な差はなかった。ホルモン受容体陰性患者では3年EFS率はpCR患者が85%、非pCR患者が65%でハザード比は0.34、p=0.001で有意な差があった。投与薬剤別のpCRの有無とEFSを調べたところ、併用群でのみ有意にpCR患者の3年EFS率が有意に良かった(ハザード比0.32、p=0.012)。

 pCR患者と非pCR患者のOSについては、全体では3年OS率はpCR患者が94%、非pCR患者が87%でハザード比は0.35、p=0.005で有意な差があった。ホルモン受容体陽性患者では3年OS率はpCR患者が96%、非pCR患者が93%でハザード比は0.85、p=0.84で有意な差はなかった。ホルモン受容体陰性患者では3年OS率はpCR患者が94%、非pCR患者が80%でハザード比は0.29、p=0.003で有意な差があった。投与薬剤別のpCRの有無とOSを調べたところ、有意な差はなかった。