今回のサンアントニオ乳癌シンポジウムのHER2関連の演題は、抗HER2薬をどのように活用すれば良いかに関する発表が相次ぎました。

 まず、HER2陽性の患者さんにおいて、抗体薬であるトラスツズマブとチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)のラパチニブを併用した術前補助療法(ネオアジュバント)は有望であることが、6つの試験のメタ解析で確認されました。治療効果をより高める方向として、2つの抗HER2治療によるdual blockadeは期待できます。

 また以前から抗HER2治療薬のpredict factorが検討されてきましたが、全ゲノムシークエンスによって、従来の検出方法でHER2 陰性患者においてHER2 変異が同定されました。in vitroのデータですが、HER2 変異を有する細胞に対し、TKIが有効であることも示され、HER2変異はTKIのpredict factorである可能性が考えられます。

 一方、ラパチニブに対する耐性機序が徐々にわかってきている中で、その機序の1つとして、エストロゲン受容体(ER)が関与することが指摘されています。今回のSABCSでも、ラパチニブのネオアジュバントを受けた患者で、ER陰性からER陽性に変化するなど、ホルモン感受性が上がる例が報告されました。この結果から、抗HER2治療薬とホルモン療法の併用、および再発時の再生検の必要性が示唆されます。

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