HER2陽性転移性乳癌患者に対し、トラスツズマブラパチニブの併用による術前補助療法はトラスツズマブ単剤よりも効果が高いことが、フェーズ3臨床試験を含む6試験をメタ解析した研究で明らかになった。また単剤ではトラスツズマブの方が病理学的完全奏効(pCR)は高く、毒性が低いことも示された。スウェーデンUniversity of UppsalaのA. Valachis氏らが、12月4日から8日まで米国サンアントニオで開催されたサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS2012)で発表した。

 解析対象は、NeoALLTO試験やGeparQuirto試験、NSABP B-41試験など、術前補助療法として、トラスツズマブ+化学療法(トラスツズマブ群)、ラパチニブ+化学療法(ラパチニブ群)もしくはトラスツズマブ+ラパチニブ+化学療法(併用群)の投与を検討した6試験のHER2陽性乳癌患者1494人。

 この研究の主要評価項目であるpCR率は、トラスツズマブ群では36%、ラパチニブ群は29%であり、トラスツズマブ群のほうが有意に高かった(相対リスク比1.24、95%信頼区間:1.08-1.44、p=0.003)。

 4試験の779人において、併用群とトラスツズマブ群の比較が行われた。この結果、併用群のpCR率は53%、トラスツズマブ群は39%であり、併用群で有意に高かった(相対リスク比1.39、95%信頼区間:1.20-1.63、p<0.001)。

 乳房温存術の施行率はトラスツズマブ群とラパチニブ群、および併用群とトラスツズマブ群で違いはなかった。

 副作用の発生頻度に関しては、グレード3/4の下痢がラパチニブ群の方でトラスツズマブ群より多かった(相対リスク比7.39、p<0.001)。グレード3/4の皮膚毒性もラパチニブ群で多かった(同4.74、p<0.001)。また併用群でもグレード3/4の下痢がトラスツズマブ群に比べて有意に多く見られた(同11.54、p<0.001)。心毒性の発生頻度は群間で違いはなかった。

 以上の結果から、「HER2陽性乳癌の術前補助療法として、抗HER2治療薬の併用は優れており、トラスツズマブとラパチニブの直接比較では、pCRと毒性に関してラパチニブの方が良くない結果であった」とまとめた。