HER2陽性の転移を有する乳癌患者を対象として、ラパチニブビノレルビンの併用療法と、既に有効性が報告されているラパチニブとカペシタビンの併用療法を比較した第2相のVITAL試験から、両併用療法の有効性と忍容性は同等である可能性が示された。12月4日から8日まで米国サンアントニオで開催されたサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS2012)で、ドイツHeinrich-Heine-UniversitatのW. Janni氏が発表した。

 ラパチニブはHER2陽性の転移を有する乳癌に、ビノレルビンは転移を有する乳癌に対し、有効性がそれぞれ報告されている。この2剤の併用療法を検討した第1相試験と第2相試験はあるものの、ランダム化試験はこれまでに報告されていない。

 Janni氏らは、ラパチニブ+ビノレルビンの併用療法と、既に有効性が報告されているラパチニブ+カペシタビンの併用療法の有効性と安全性を評価する、非盲検、多施設共同、第2相のランダム化試験を実施した。

 対象は、HER2陽性の転移を有する乳癌で、アントラサイクリン、タキサン、トラスツズマブなどによる1レジメン以下の化学療法を受けた患者。割り付けられた治療で進行(PD)を認めた場合、もう一方の治療へのクロスオーバーを可とした。

 21日を1サイクルとして、ラパチニブ1250mgを1日1回経口投与し、ビノレルビン20mg/m2/日を1日目と8日目に静脈内投与する群(ラパチニブ+ビノレルビン群)、またはラパチニブ1250mgを1日1回、カペシタビン2000mg/m2/日を1日目から14日目まで経口投与する群(ラパチニブ+カペシタビン群)に、患者を2対1で割り付けた。9週毎にスキャンを行い、PDとなるまで繰り返した。

 同試験の主要評価項目はPFS、副次的評価項目は全生存期間(OS)、奏効率、安全性などだった。今回は無増悪生存期間(PFS)の結果が発表された。

 データのカットオフ日は2012年8月21日とされた。112人が登録され、ラパチニブ+ビノレルビン群75人(年齢中央値57歳)、ラパチニブ+カペシタビン群37人(同58歳)となった。両群の患者背景に差はなく、初回診断からの期間の中央値のみがラパチニブ+カペシタビン群でやや短かったが、有意差はなかった。

 PFS中央値は、両群ともに6.2カ月となり、ハザード比は0.84(95%信頼区間:0.53-1.35)だった。

 この試験で観察された有害事象は、各薬剤の既知の安全性プロファイルと一致していた。患者の20%以上に発現した主な有害事象は、下痢、好中球減少、手掌・足底発赤知覚不全症候群(PPE)、発疹、悪心、疲労感で、多くはグレード1または2だった。両群間に有意差がみられたのはグレード3または4の好中球減少で、ラパチニブ+ビノレルビン群の31%、ラパチニブ+カペシタビン群の3%に発現した(p=0.003)。

 有害事象による試験からの逸脱は、ラパチニブ+ビノレルビン群15%、ラパチニブ+カペシタビン群16%と同様だった。重篤な有害事象(SAE)はそれぞれ33%と11%に発現した。同試験のプロトコールにより、グレード4の好中球減少はSAEとして報告され、SAEの中で最も多く、ラパチニブ+ビノレルビン群の13%に発現した。

 Janni氏は「HER2陽性の転移を有する乳癌患者に対し、ラパチニブとビノレルビンの併用療法はラパチニブとカペシタビンの併用療法と同等の有効性と忍容性を示し、有効な治療選択肢の一つとなると考えられる」とした。

 VITAL試験のOSとクロスオーバーした患者のPFSは、後日発表される予定である。