術中乳房部分照射(TARGIT)は、腫瘍サイズが3.5cm未満の孤発性浸潤性腺管癌患者のうち、プロゲステロン受容体(PgR)陽性患者において有用な選択肢の1つになる可能性が報告された。国際共同ランダム化フェーズ3試験TARGIT-Aの5年後の試験結果について、TARGIT trialist’s groupを代表してJayant S. Vaidya氏が、米国サンアントニオで12月4日から開催されたサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS)で発表した。

 TARGIT-Aは、術中乳房部分照射(TARGIT)を行った群の安全性と有効性について、術後数週間にわたって全乳房への外照射を行う標準的な治療(EBRT)と比較した国際共同ランダム化フェーズ3試験。すでに、実施4年後の成績については、2010年に発表している。今回は、5年後の成績について報告した。

 対象は、45歳以上の腫瘍サイズが3.5cm未満の孤発性浸潤性腺管癌患者。2000年から2012年にかけて欧州、北米、オーストラリアの10カ国33施設から3451人が登録され、TARGIT群とEBRT群に無作為に割り付けられた。TARGIT群は、割り付け時期によってさらに2群に分かれている。腫瘍摘出術前に割り付けられた群は、腫瘍摘出術時にTARGITを実施した(TARGIT同時施行群)。一方、腫瘍摘出術後に割り付けられた群は、腫瘍摘出術とは別の日にTARGITを実施した(TARGIT術後施行群)。

 TARGIT群は、術中に乳房部分照射する際には専用の照射装置(Intrabeam)を用い、腫瘍周辺の乳腺組織に対しおよそ20Gyを照射する。さらに、高リスク因子を持つ患者の場合はEBRTを追加。EBRT群は、40〜56Gyを15〜25分割で照射した。

 主要評価項目は、同側再発(IBR)、副次評価項目は死亡(乳癌死、非乳癌死)。また探索的に、局所再発、全再発(同側または体側、腋窩または遠隔転移)についても検討した。
 
 全患者背景は、60歳未満が約半数を占め、腫瘍が1cm未満の患者が過半数を超えていた。予後不良因子を持つ患者(腫瘍サイズ2cm超、グレード3、リンパ節転移陽性)は少なかった。

 主要評価項目の5年後同側再発は、TARGIT群のハザード比が2.05(95%信頼区間:1.01-4.25)で、EBRT群と比べ、TARGIT群の同側再発率が有意に高く、両群間の差は2.01%だった。このうち、PgR陽性のTARGIT同時施行群に限ると、同側再発のハザード比は0.82(同0.22-3.06)で有意差はなかったが、EBRT群よりも0.18%低かった。
 
 副次評価項目では、TARGIT群の死亡のハザード比は0.70(95%信頼区間:0.46-1.07)で、TARGIT群で死亡が減少する傾向が確認された。両群間の差は1.4%だったが、有意差はなかった(p=0.1)。このうち、乳癌死のハザード比は0.94で有意差はなかったが、非乳癌死のハザード比は0.47(同0.26-0.84)となり、TARGIT群で有意に低く、両群間の差は2.1%だった(p=0.009)。

 5年の非乳癌死リスクはTARGIT群が1.4%、EBRT群が3.5%だった。

 TARGIT群の局所再発のハザード比は2.2(95%信頼区間:1.2-4.2)で、TARGIT群で有意に高かった。このうち、PgR陽性のTARGIT同時施行群に限ると、ハザード比は1.4(同0.46-4.6)で有意差はなかった。

 TARGIT群の全再発(同側または体側、腋窩または遠隔転移)のハザード比は1.44(95%信頼区間:0.99-2.08)、遠隔再発のハザード比は1.40(同0.85-2.31)でそれぞれ有意差はなかったほか、PgR陽性に限っても同様に有意差は確認されなかった。

 これらの結果からVaidya氏は、「TARGITの適応患者については慎重に検討しなければいけないが、TARGIT-A Trialの登録基準を満たし、PgR陽性の患者では、術中に行うTARGITは選択肢の1つとして考えられる。また。予後不良因子がある場合は、外照射を追加することが必要である」と語った。