ステロイド型アロマターゼ阻害剤(AI)のエキセメスタンによる術前内分泌療法を24週間施行した原発乳癌患者の性ステロイドホルモンの検討から、治療開始前のエストロゲン、特にエストロン(E1)の血中濃度は、エキセメスタンを用いた術前内分泌療法の治療効果の予測に有用な可能性が示された。12月4日から8日まで米国サンアントニオで開催されているサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS2012)で、京都大学医学部附属病院乳腺外科の高田正泰氏が発表した。

 高田氏らはJFMC34-0601試験において、閉経後の原発乳癌患者において、BMIとエキセメスタンによる術前内分泌療法で得られた奏効との間に、正の相関があることを報告している(M.Takada, et al. Breast 2012 Feb;21(1)40-5)。

 同試験では、II期またはIIIA期の閉経後のエストロゲン受容体(ER)陽性および/またはプロゲステロン受容体(PgR)陽性の患者を対象として、術前内分泌療法としてエキセメスタン(1日当たり25mg)を16週投与し、完全奏効(CR)から病勢安定(SD)までの効果が得られた患者にさらに8週投与した。その後手術を行い、必要に応じて術後補助化学療法、放射線療法を追加し、エキセメスタン25mgを5年間投与した。

 今回高田氏らは、JFMC34-0601試験の対象について、性ステロイドホルモンの血中濃度とBMIの関係を検討し、奏効に関する予測値を調査した。

 同試験に登録された患者116人のうち、60人から治療開始前、4週時、治療終了時(24週時)と、病勢進行(PD)を認めた時点で血清を採取し、本検討の対象とした。

 エストラジオール(E2)、E1、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、アンドロステンジオン(A-dione)、5-アンドロステン-3β、17β-ジオール(Aenediol)、5α-アンドロスタン-3β、17β-ジオール(Aanediol)をLC-MS/MS法で分析し、E1 sulfate(E1S)はラジオイムノアッセイ(RIA)法に供した。

 その結果、治療開始前の性ステロイドホルモンとBMIとの間には、E2とBMIの中等度の相関(p=0.004)を除き、有意な相関はなかった。

 多変量解析を行うと、BMI中間群(22kg/m2以上25 kg/m2未満)、BMI高値群(25kg/m2以上)と同様に、E1が奏効率の独立した予測因子として抽出された(オッズ比5.97、95%信頼区間:1.46-34.62、p=0.011)。

 治療4週時には、全てのエストロゲンが検出レベル以下に減少し、奏効に関係なくほぼ全例で治療終了時まで維持されていた。

 術前内分泌療法施行中のアンドロゲンとその代謝産物の血中濃度の変動をみると、PDとなった症例では上昇が認められた。PDの症例では術前内分泌療法施行後もこれらの値が上昇しており、Aenediolでは有意差もみられた(p=0.031)。これらの所見から高田氏は、「アンドロゲンやその代謝産物がAIへの耐性に関与している可能性がある。アンドロゲンの血中濃度が上昇するメカニズムを検討する意義がある」と考察した。
 
 高田氏は「ERに加え、E1、BMIにより、術前内分泌療法のさらなる治療効果予測が可能になるかもしれない。実臨床では、ホルモンレベルの測定にLC-MS/MS法を行うことは難しいかもしれないが、E1についてはRIA法で測定可能なレベル」と話した。