腋窩リンパ節転移が4個以上の高リスクの乳癌患者に対する術後補助療法として、化学療法の投与間隔を狭め、かつ投与量を高めたintense dose-dense ETCエピルビシンパクリタキセルシクロホスファミド)(iddETC)を検討した第3相のAGO試験から、10年の追跡結果が報告された。iddETCの無再発生存率(RFS)と全生存率(OS)は標準化学療法よりも優れ、OSでは10%の差が得られたことが明らかになった。12月4日から8日まで米国サンアントニオで開催されているサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS2012)で、ドイツKlinikum Frankfurt HoechstのVolker Moebus氏が発表した。

 Moebus氏らは、AGO試験の5年の追跡結果として、従来の術後化学療法と比べてiddETCでRFSとOSが有意に改善したことを報告している(V. Moebus, et al. J Clin Oncol 2010;28:2874-2880)。

 dose-denseのレジメンによる長期生存と毒性は不明であることから、Moebus氏らは10年間追跡を行った。主要評価項目はRFS、副次的評価項目はOS、毒性、QOLだった。

 対象は、II期からIII期の原発乳癌で腋窩リンパ節転移を4個以上認める患者で、1998年12月から2003年4月までに1284人が各群に割り付けられた。追跡期間中央値は122カ月だった。

 iddETC(ETC群)では、エピルビシン150mg/m2を2週毎に3サイクル投与後、パクリタキセル225mg/m2を2週毎に3サイクル投与し、その後シクロホスファミド2500mg/m2を2週毎に3サイクル投与した。各サイクルの3日目から10日目まで、夥粒球コロニー刺激因子(G-CSF)のフィルグラスチム5μg/kg/日を投与した。
 
 対照の標準化学療法(EC→T群)では、EC(エピルビシン90mg/m2とシクロホスファミド600mg/m2を1日目に投与)を3週毎に4サイクル投与し、その後パクリタキセル175mg/m2を3週毎に4サイクル投与した。G-CSFは投与しなかった。

 ETC群とEC→T群の患者背景はバランスがとれていた。対象全体の年齢中央値は49.8歳、腋窩リンパ節転移の数の中央値は8個、患者の42%に10個以上の転移が認められた。

 10年のRFSは、ETC群56%、EC→T群47%で、ハザード比は0.74(95%信頼区間:0.63-0.87)となり、有意にETC群で延長した(p=0.00014)。無再発期間中央値は、ETC群は未到達、EC→T群は95.1カ月だった。
 
 10年のOSは、ETC群69%、EC→T群59%、ハザード比は0.72(95%信頼区間:0.60-0.87)となり、有意にETC群で延長した(p=0.0007)。OS中央値は両群ともに未到達だった。
 
 OSをリンパ節転移の数でみると、4個から9個の患者では、ハザード比0.77で両群間に有意差はなかったが(p=0.061)、10個以上の患者では、ハザード比0.66でETC群で有意に延長した(p=0.0016)。
 
 ETC群に発現した毒性は管理可能なもので、治療に関連する死亡や長期に持続する毒性は観察されなかった。急性白血病または骨髄異形成症候群はETC群の9人、EC→T群の2人に発生し、ETC群の発生率はカナダで開発されたCEF療法(シクロホスファミド、エピルビシン、フルオロウラシル)と同様だった。

 ETC群では、エポエチンアルファの影響を検討するため2回目のランダム化を行い、エポエチンアルファを投与する群と投与しない群を比較した。エポエチンアルファの投与により、静脈血栓塞栓症のリスクは上昇したが、ヘモグロビン値の低下を回避でき、赤血球輸血の割合も低下し、RFSとOSへの悪影響も認めなかった。Moebus氏は、「エポエチンアルファはintense dose-denseの化学療法を受ける患者の貧血の1次予防に安全と考えられる」と話した。
 
 結論として、Moebus氏は「iddETCは腋窩リンパ節転移が4個以上の高リスクの乳癌患者に対する標準的なレジメンとして考慮すべき」と述べた。