HER2、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体が陰性(いわゆるトリプルネガティブ)の乳癌患者を対象に、術後補助療法として化学療法に追加してベバシズマブを投与してもIDFS(浸潤性乳癌がない期間)は有意に延長できないことが明らかとなった。多施設共同国際無作為化オープンラベルフェーズ3試験BEATRICEの結果示されたもの。12月4日から8日まで開催されたサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS2012)で、英University of EdinburghのD. Cameron氏によって発表された。

 BEATRICE試験は、中央検査で確認された早期浸潤トリプルネガティブ乳癌で癌の切除を受けた2591人を、医師が選択した標準的な化学療法(選択肢はタキサンベースを4サイクル以上、アントラサイクリンベースを4サイクル以上、アントラサイクリン系とタキサン系を3から4サイクルずつの3つ)を4から8サイクル行い、その後は観察を行う群(化学療法のみ群、1290人)と、医師が選択した標準的な化学療法の4から8サイクルにベバシズマブ(週当たり5mg/kg)を投与し、化学療法終了後ベバシズマブの単独投与を行う(ベバシズマブの投与期間は合計1年間)群(ベバシズマブ群、1301人)に無作為に割り付けて行われた。主要評価項目はIDFSだった。

 両群で患者背景に大きな差はなかった。化学療法のみ群の年齢中央値は50歳(22-80)、ベバシズマブ群は50歳(20-84)。化学療法のみ群はT1が35.5%、T2 が59.0%、T3が5.5%、ベバシズマブ群はT1が37.1%、T2 が58.2%、T3が4.7%。AJCCステージIが化学療法のみ群は30.1%、ベバシズマブ群は29.4%だった。

 術後補助化学療法は、化学療法のみ群でアントラサイクリンベースが468人(36.3%)、アントラサイクリン系とタキサン系が756人(58.6%)、タキサンベースが66人(5.1%)、ベバシズマブ群でアントラサイクリンベースが479人(36.8%)、アントラサイクリン系とタキサン系が752人(57.8%)、タキサンベースが70人(5.4%)だった。

 観察期間中央値が化学療法のみ群31.5カ月、ベバシズマブ群32.0カ月で、IDFSのイベント数は化学療法のみ群が205件(15.9%)、ベバシズマブ群が188件(14.5%)だった。3年IDFS率は化学療法のみ群が82.7%(95%信頼区間:80.5-85.0)、ベバシズマブ群が83.7%(95%信頼区間:81.4-86.0)で、層別化ハザード比は0.87(95%信頼区間:0.72-1.07)、p=0.1810となり有意な差はなかった。

 全生存(OS)の中間解析(必要イベント数の59%)でも、イベント数は化学療法のみ群が107件(8.3%)、ベバシズマブ群が93件(7.1%)で、層別化ハザード比は0.84(95%信頼区間:0.64-1.12)、p=0.2318となり有意な差はなかった。

 化学療法期間中に起きたグレード3以上の副作用でベバシズマブ群で明らかに多かったのは高血圧(化学療法のみ群は6人、ベバシズマブ群は88人)だった。観察期間またはベバシズマブのみ投与期間中に起きたグレード3以上の副作用でベバシズマブ群で明らかに多かったのは高血圧(化学療法のみ群は4人、ベバシズマブ群は70人)と蛋白尿(化学療法のみ群は8人、ベバシズマブ群は24人)だった。