早期乳癌で化学療法が必要な患者に対し、エピルビシンを標準的に投与した群(E群)と投与間隔を狭めて(accelerated)投与した群(aE群)を比較した第3相のTACT2試験の初回解析から、17000人年を超える追跡において、投与間隔を狭めても転帰に改善はみられないことが示された。同試験では、各群をさらにCMF(シクロホスファミド、メトトレキサート、フルオロウラシル)またはカペシタビンを投与する群に割り付け、比較を進める予定だ。12月4日から8日まで米国サンアントニオで開催されているサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS2012)で、英国Edinburgh Cancer Research CentreのDavid Cameron氏が発表した。

 TACT2試験では、リンパ節転移陽性またはリンパ節転移陰性で高リスクの早期乳癌の患者を対象とし、E-CMFを対照として、次の2つの仮説を検証している:(A)投与間隔を狭めたアントラサイクリンの投与で有効性が増す、(B)カペシタビンはCMFと同様の有効性をもたらすが、毒性は低い。

 今回はE群とaE群を比較して(A)の仮設を検証した結果が発表された。主要評価項目は無再発率(TTR)で、局所または遠隔に再発、または乳癌による死亡までの期間と定義した。
 
 E群ではエピルビシン100mg/m2を3週毎に4サイクル投与し、aE群ではエピルビシン100mg/m2を2週毎に4サイクル投与、併せてペグフィルグラスチム 6mgを2日目に投与した。その後、両群の患者をCMFまたはカペシタビン2500mg/m2を投与する群にランダム化した。

 同試験は、90%以上の検出力で、E群とaE群の間のTTRの臨床的に意義のある4%の差を検出できるようデザインされている。2012年6月1日の時点で、独立データモニタリング委員会は、データがE群とaE群の結果を示す上で十分と判断した。
 
 2005年12月から2008年12月までに英国の129施設から参加した4391人がランダム化された。手術から化学療法の最初のサイクルまでの期間の中央値は41日だった。追跡期間中央値は49.3カ月で、17000人年を超える追跡が可能だった。最近の15カ月で97.9%の生存中の患者の追跡に関するデータが得られた。
 
 E群は2221人(年齢中央値51.5歳、女性2208人)、aE群は2170人(同51.9歳、2163人)となった。両群の患者背景に偏りはなく、E群とaE群において、閉経前の患者は38.9%と36.8%、乳房切除術を受けた患者は47.2%と43.8%、Grade3の腫瘍は57.5%と57.3%、腋窩リンパ節転移陽性は53.1%と53.3%、エストロゲン受容体(ER)/プロゲステロン受容体(PgR)陽性でHER2陰性(Luminal)の患者は61.3%と60.1%、HER2陽性でER/PgR陽性は11.7%と12.4%、トリプルネガティブの患者は19.9%と19.7%だった。

 aE群の平均用量強度はE群より高く、150.6%となった。
 
 3年のTTRは、E群90.9%、aE群91.0%、5年のTTRはそれぞれ85.2%と86.4%、ハザード比は0.96(95%信頼区間:0.81-1.13)となり有意差はなかった(p=0.60)
 
 3年のOSは、E群94.5%、aE群94.4%、5年のOSはそれぞれ89.3%と88.6%、ハザード比は1.13(95%信頼区間:0.93-1.37)となり有意差はなかった(p=0.23)。死亡はE群8.6%、aE群9.7%で、投与間隔を狭めたことによる死亡の増加を示すエビデンスはなかった。

 急性の毒性については、サブセットの2115人(E群1070人、aE群1045人)で詳細を評価した。1から4サイクルの間に発現したグレード3以上の毒性では、aE群でE群に発現しなかった手足症候群が0.9%に発現したものの、好中球減少(1.7%対16.4%)、白血球減少(1.0%対3.8%)、発熱性好中球減少(1.4%対3.6%)は、いずれもaE群と比べてE群で有意に発現率が高かった。
 
 CMFとカペシタビンの比較の結果は、来年以降に発表される予定である。