Ki67は腫瘍の増殖活性を示し、luminal Aやluminal Bを定義するマーカーであるが、そのカットオフ値には議論があった。術前化学療法のGeparTrio試験のデータを用いた解析で、Ki67値は治療効果や予後を予測する因子であり、臨床では低値(15%以下)、中間値(15.1-35%)、高値(35%超)の3つに分けることが有用である可能性が明らかになった。ドイツCharite University HospitalのCarsten Denkert氏らが、12月4日から8日まで米サンアントニオで開催されているサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS 2012)で発表した。

 GeparTrio試験は、術前化学療法として、TAC療法(ドセタキセル、ドキソルビシン、シクロホスファミド)を2サイクル行った後に、効果判定し、その結果によって治療法を以下のように分けた。

 CR/PRの場合、TAC療法をさらに4サイクル(計6サイクル)またはTAC療法を6サイクル(計8サイクル)行った。NCの場合は、TAC療法を4サイクル(計6サイクル)またはNX療法(ビノレルビン、カペシタビン)を行った。

 今回の解析は、コア生検でKi67を評価できた1166人を対象とした。Ki67のカットオフ値の解析は、ウエブ上のアプリケーションソフト「Cutoff Finder」を用いた。結果、pCR(病理学的完全奏効)を予測する上で、Ki67の94のカットオフポイントのうち93が有意なポイントであることが示された。またpCRとDFS(無病期間)、OS(全生存期間)の3つのパラメーターに対しては、Ki67 10%から45%の全てのカットポイントが有意なポイントであった。

 その結果を基に、Ki67低値(15%以下)、中間値(15.1-35%)、高値(35%超)の3群に分けたところ、pCRとDFS、OSのいずれでも有意に分類できることが示された(すべてp<0.0005)。

 次に、分子サブタイプを軸としたレーダーチャートを用いて、ホルモン受容体(HR)陽性・陰性、HER2陽性・陰性(計8サブタイプ)ごとのpCRとDFS、OSを、Ki67の3群で分けた。

 この結果、pCRに対し、Ki67値は8サブタイプのうちHR陰性やHR陰性/HER2陰性、HER2陰性など6サブタイプで有意な関連性を示し、その6サブタイプではKi67高値ほどpCR率が高かった。OSとDFSに対しては、HR陽性、HR陽性/HER2陰性、HER2陰性の3サブタイプにおいてKi67高値ほど、予後不良であることが示された。このため「Ki67はポジティブな効果予測因子であり、ネガティブな予後予測因子である」とした。