65歳以上のリンパ節転移陰性早期乳癌患者に対する術後補助化学療法として、テガフールウラシル(UFT)投与は有効性、安全性の観点において、CMF療法と同等であることが報告された。またQOLの評価では、UFT投与群でより改善する傾向が確認された。N-SAS BC 01 Trialの探索的研究の解析結果によるもので、四国がんセンター乳腺科・化学療法科の原文堅氏が米国サンアントニオで12月4日から開催されているサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS)で発表した。

 今回、原氏らは、リンパ節転移陰性で高リスク(核グレードがIIまたはIII)の乳癌患者に対する術後補助療法を検討したフェーズ3試験「N-SAS BC01 Trial」から、65歳以上の患者データを抽出し、UFT投与の有効性、毒性、QOLが、CMF療法に非劣性であるかを検討した。

 N-SAS BC01 Trialは、リンパ節転移陰性のハイリスク乳癌患者を、UFT群とCMF療法群にランダムに割り付け、安全性、有効性、QOLについて比較した試験。試験結果は2009年に発表されており、UFTの非劣性は示されなかったが、両群の5年無再発生存率や5年生存率は同等だったほか、QOLはUFT群で良好な傾向を示したことが報告されている。CMF療法群は1サイクル(シクロホスファミド100mg経口投与:1〜14日目、メトトレキサート40mg/m2:1、8日目、5-FU 500mg/m2:1、8日目)を28日とし、6サイクル実施した。UFT群は、UFT 300mg/m2を2年間毎日経口投与とした。

 同試験に登録された患者707人のうち、今回の解析対象となった65歳以上の患者は13.7%(97人)だった。UFT群が44人、CMF療法群が53人。

 患者背景は、平均年齢は約68歳、65〜69歳の患者は63〜71%、腫瘍サイズが2cm以下は47〜52%、核グレードIIは30〜36%、IIIは52〜58%。ホルモン受容体陽性(ER陽性かつ/またはPgR陽性)は59〜60%、乳房温存術は26〜27%、乳房切除術は72〜73%だった。

 解析の結果、5年無再発生存(RFS)率はCMF療法群が92.5%、UFT群が93.0%だった。5年生存(OS)率はそれぞれ98.1%、97.7%。

 CMF療法に対するUFT群のRFS率のハザード比は1.07、OSは1.23だったが、登録患者数が足りず、統計学的な比劣性は示せなかった。

 グレード3または4の有害事象については、白血球減少症がCMF療法群で3.8%、UFT群で0%、好中球減少症はそれぞれ13.5%、4.8%となり、CMF療法群において発現率が高い傾向が見られた。同様に、グレード3または4のASTやALTの上昇、嘔気・嘔吐の発現率は、UFT群と比べ、CMF療法群で高かった。これに対し、グレード3または4の総ビリルビン値の上昇と下痢の発現率は、UFT群の方が高い傾向があったが、いずれも有意差はなかった。

 EORTC QLQ-C30/BR23とFACT-Bを用いたQOLの評価では、両群間に有意差はなかったものの、CMF療法群と比べ、UFT群のQOLスコアが高い傾向が見られた。

 また、治療終了時点のアドヒアランス率は、CMF療法群(開始6カ月時点)が79.2%、UFT群(開始2年時点)が74.4%だった。

 これらの結果から原氏は、「65歳以上の初期乳癌患者へのUFT投与は、登録患者数が少ないことから統計学的な非劣性は示せなかったが、有効性、毒性、QOLにおいてCMF療法と同等である可能性が示された。また、UFT群では2年間の経口投与がおよそ4分の3の患者で実施可能であり、高いアドヒアランス率だった。65歳以上のリンパ節転移陰性ハイリスク乳癌患者への術後補助化学療法において、UFT投与は有効な治療選択肢の1つになるうる」と語った。また今後は、今回の試験結果を踏まえ、大規模なランダム化比較試験で検討する必要があるとした。