65歳以上の再発または転移を有する乳癌患者へのファーストラインの化学療法として、ペグ化リポソーム内包ドキソルビシンとカペシタビンを比較した結果、両群間に有意差はなかった。どちらの薬剤も、75歳以上、PS2の高齢の再発または転移を有する乳癌患者において有効であることが示された。フェーズ3試験OMEGA Studyで明らかとなったもの。オランダAlkmaar Medical CenterのC. H. Smorenburg氏らが、米国サンアントニオで12月4日から開催されているサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS)で発表した。

 高齢の再発または転移を有する乳癌患者を対象にした化学療法の有効性と忍容性に関する報告は数が限られており、フェーズ2試験が40件未満、前向きのランダム化試験に至っては2件のみとなっている。

 そこで、Smorenburg氏らは、65歳以上の再発または転移を有する癌患者を対象に、ファーストラインの化学療法として、ペグ化リポソーム内包ドキソルビシン(PEGdoxo群、4週間毎に45mg/m2を静注)またはカペシタビン(Cape群、経口で1000 mg/m2を1日2投与、3週間おき1〜14日目に投与)にランダムに割り付け、24週間投与し、比較した。

 対象は、65歳以上の再発または転移を有する乳癌患者で、ECOG PSが0-2、クレアチニンクリアランスが40mL/分超、左室駆出率が正常に保たれている患者とした。2007年4月から2011年8月までに78人を登録し、PEGdoxo群(40人)とCape群(38人)に無作為に割り付けた。

 主要評価項目は、無増悪生存期間(PFS)、奏効率、全生存期間(OS)、毒性、コンプライアンスの両群間の比較。さらに、包括的老人病評価(GCA)と毒性との関係について評価した。サンプルサイズは154人で、PEGdoxo群のPFSがCape群よりも3カ月延長した場合は統計学的に優位性を示すと設定した。

 患者の年齢中央値は74〜75歳、75歳以上は48〜61%、PS1が47〜48%、エストロゲン受容体(ER)陽性が58〜62%、プロゲステロン受容体(PR)陽性が45〜47%、ER陰性かつPR陰性は25〜32%。術後補助療法で内分泌療法を行ったのは47〜48%、化学療法は12〜13%。転移状態は、骨のみが8〜11%、内臓のみが30〜32%。追跡期間中央値は39カ月。

 投与期間中央値は、PEGdoxo群が4.5サイクル、Cape群が7サイクル、用量強度はそれぞれ85%、84%だった。治療中断理由を見ると、PEGdoxo群では病勢進行が38%と最も多く、Cape群ではプロトコールが原因とした患者が42%だった。

 試験の結果、PEGdoxo群では、部分奏効(PR)が18%、安定(SD)が52%、病勢進行(PD)が12%、評価不能が18%だった。一方、Cape群はそれぞれ16%、45%、24%、16%だった。

 また、PFS中央値は、PEGdoxo群が5.6カ月、Cape群が7.7カ月(ハザード比1.47、p=0.11)、OS中央値はそれぞれ13.8カ月と16.8カ月(ハザード比1.64、p=0.59)で、ともに有意差は認められなかった。

 グレード3または4の発現状態は、PEGdoxo群、Cape群ともに倦怠感が13%と最も高く、手足症候群がそれぞれ11%、15%だった。PEGdoxo群においてのみ、好中球減少性発熱(3%)、グレード2の脱毛症(3%)、皮膚症状(5%)が見られた。さらに、治療開始時の包括的老人病評価による加齢症状の個数と、グレード3または4の有害事象との関係を調べたところ、相関関係が確認された。
 
 これらの結果からSmorenburg氏は、高齢の再発または転移を有する乳癌患者へのファーストラインとして、ペグ化リポソーム内包ドキソルビシンまたはカペシタビン単剤による治療は、75歳以上やPS2の患者であっても有効であるとまとめた。また、75歳以上の再発または転移を有する乳癌患者の予後が不良だったことから、さらなる検討が必要であると指摘した。