アロマターゼ阻害剤レトロゾール(LET)による術後補助療法は、タモキシフェン(TAM)に比べて、浸潤性乳管癌でも浸潤性小葉癌でも生存を改善するが、小葉癌でより有用性が高く、luminal Aタイプよりもluminal Bタイプで高いことが、大規模フェーズ3臨床試験BIG1-98の解析で明らかになった。米Dana-Farber Cancer InstituteのOtto Metzger Filho氏らが、12月4日から8日まで米サンアントニオで開催されているサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS 2012)で発表した。

 BIG1-98試験は、閉経後ホルモン受容体(HR)陽性早期乳癌患者を対象に、術後補助療法として、LETもしくはTAMを単独で5年間投与する群と、LETもしくはTAMの逐次投与を行う群を比較した国際的無作為化二重盲検フェーズ3臨床試験。

 今回の解析は、LETもしくはTAMの単独投与を受けた計4922人のうち、組織型やHRの状態が明らかだった2923人について、乳管癌と小葉癌、およびluminal A(HR陽性、HER2陰性、Ki-67 14%未満)とluminal B(HR陽性、HER2陰性、Ki-67 14%以上)に分けて、その無病生存期間(DFS)と全生存期間(OS)を解析した。

 乳管癌(2599人)では、luminal Aが55.3%、luminal Bが44.7%を占めた。小葉癌(324人)ではluminal Aが73.1%と多く、luminal Bが26.9%であった。

 この試験ではTAMからLETへのクロスオーバーが25%あった。そこで、TAM群での追跡観察はクロスオーバーした時点で打ち切り、TAM治療を続けた患者に統計的な重み付けをするIPCW(Inverse probability of Censoring Weighted Analysis)によって、DFSとOSが解析された。

 この結果、乳管癌ではLET群の5年DFS率は88%、TAM群は84%、8年DFS率はLET群が82%、TAM群が75%で、TAM群に対するLET群のハザード比は0.80(95%信頼区間:0.68-0.94)だった。一方、小葉癌ではLET群の5年DFS率は89%、TAM群は75%、8年DFS率はLET群が82%、TAM群が66%で、ハザード比は0.48(同:0.31-0.74)であり、乳管癌と小葉癌のDFSは有意に異なることも示された(p=0.03)。

 OSについては、乳管癌ではLET群の5年生存率は94%、TAM群は92%、8年生存率はLET群が88%、TAM群が84%で、TAM群に対するLET群のハザード比は0.73(95%信頼区間:0.6-0.89)だった。小葉癌ではLET群の5年生存率は96%、TAM群は86%、8年生存率はLET群が89%、TAM群が74%で、ハザード比は0.40(同:0.23-0.69)であり、乳管癌と小葉癌のOSは有意に異なった(p=0.045)。

 さらにCox回帰分析の結果、DFSについて、TAM群に対するLET群のハザード比は、乳管癌でluminal Aの場合は0.95(95%信頼区間:0.76-1.2)だが、乳管癌でluminal Bの場合は0.64(同:0.53-0.79)、小葉癌でluminal Aの場合は0.49(同:0.32-0.78)、小葉癌でluminal Bの場合は0.33(同:0.21-0.55)だった。組織型(p=0.006)およびサブタイプ別(p=0.01)でDFSは有意に異なることも確認された。

 OSについては、乳管癌でのハザード比は0.69(95%信頼区間:0.57-0.85)、小葉癌では0.39(同:0.22-0.68)であり、組織型でOSは有意に異なることが確認された(p=0.035)。

 以上のことから、レトロゾールは小葉癌、乳管癌のどちらでも、DFSとOSイベントを有意に減少させるとともに、「レトロゾールによる術後補助療法の有用性は、どちらの組織型でもluminal Bタイプの患者でより大きく、組織別では乳管癌よりも小葉癌の患者で大きい」とまとめた。