HER2陰性の転移を有する乳癌で、アントラサイクリンによる治療歴がある日本人患者において、カペシタビン(X)とドセタキセル(T)併用療法(XT療法)は、ドセタキセル単剤療法(T療法)と比べて無増悪生存期間(PFS)を有意に改善したことが第3相試験(JO21095)から示された。12月4日から8日まで米国サンアントニオで開催されているサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS2012)で、新潟県立がんセンター新潟病院の佐藤信昭氏が発表した。

 過去の大規模な第3相試験から、転移を有する乳癌患者において、XT療法はT療法と比べてPFSと全生存期間(OS)を有意に改善することが報告されている。XT療法の日本人における至適用量も第Ib相試験で評価されている。

 佐藤氏らは、HER2陰性の転移を有する乳癌で、アントラサイクリンによる治療歴がある日本人患者を対象として、XT療法とT療法の有効性と忍容性を比較した。XT療法の用量には、安全性を考慮し、1サイクルを3週として、カペシタビン1650mg/m2を1日目から14日目まで、ドセタキセル60mg/m2を1日目に投与するレジメンを採用した。
 
 患者を、XT療法を行う群(XT群)またはT療法施行後にX療法を行う群(T→X群)に、ランダムに割り付けた。T→X群では、3週を1サイクルとして、ドセタキセル70mg/m2を1日目に投与し、進行(PD)を認めた時点でカペシタビン2500mg/m2/日を1日目から14日目まで投与し、その後1週間休薬した。主要評価項目はPFSで、XT群ではランダム化からXT療法施行中のPDまたは死亡までの期間、T→X群ではランダム化からT療法施行中のPDまたは死亡までの期間とした。
 
 163人が登録され、XT群82人、T→X群81人となった。患者背景は両群でバランスがとれていた。年齢中央値はそれぞれ56.5歳と57.0歳、エストロゲン受容体(ER)および/またはプロゲステロン受容体(PgR)が陽性の患者はそれぞれ80.5%と76.5%、内分泌療法の治療歴がある患者は73.2%と74.1%、アントラサイクリンが転移に対して投与された患者は36.0%と37.0%だった。XT群とT→X群で、肝転移がある患者はそれぞれ49.4%と48.1%、肺転移がある患者は43.0%と35.1%だった。
 
 PFS中央値は、XT群10.5カ月、T→X群(T療法)9.8カ月、ハザード比は0.62(95%信頼区間:0.40-0.97)となり、XT群で有意に延長した(p=0.0342)。
 
 PFSのサブグループ解析では、XT群の肝転移、肺転移を有する患者において、それぞれハザード比が0.39(95%信頼区間:0.19-0.84)、0.43(95%信頼区間:0.21-0.90)となり、PFSの延長が認められた。
 
 OS中央値は、XT群33.8カ月(95%信頼区間:23.5-未到達)、T→X群28.8カ月(95%信頼区間:23.5-31.3)、ハザード比0.89(95%信頼区間:0.52-1.53)となった(p=0.6822)。奏効率は、XT群69.6%、T→X群61.0%だった。

 相対的用量強度は、XT群ではドセタキセルが95.1%、カペシタビンが79%、T→X群ではそれぞれ97.2%と96.0%だった。

 グレード3以上の有害事象で多く観察されたのは、好中球数減少(XT群57.3%、T→X群[T療法]60.0%)、好中球減少症(8.5%、12.5%)、発熱性好中球減少(6.1%、10.0%)だった。グレード3以上の有害事象のうち、発現率が5%以上XT群で高かったのは手足症候群、T→X群で高かったのは疲労感と末梢の浮腫だった。

 佐藤氏は「HER2陰性の転移を有する乳癌で、アントラサイクリンによる治療歴がある日本人患者では、ドセタキセル単剤療法と比べて低用量のXT療法の有効性が高いことが示された」としている