HER2陽性乳癌患者の術前補助療法として、EC療法(エピルビシン、シクロホスファミド)とドセタキセルに加え、トラスツズマブを用いる方が、ラパチニブを用いる場合よりも効果が高く、毒性も少ないことが無作為化フェーズ2試験で明らかになった。スペインHospital Universitario Virgen de la VictoriaのEmilo Alba氏らが、12月6日から10日に米国サンアントニオで開催されたサンアントニオ乳癌シンポジウム2011で発表した。

 HER2陽性乳癌において、化学療法による術前補助療法にトラスツズマブを追加することで、病理学的完全奏効(pCR)率は高くなることが報告されている。そこで研究グループは、化学療法へのラパチニブ併用とトラスツズマブ併用の効果を比較した。

 対象は、治療歴がなく、腫瘍径が2cm以上もしくは腋窩リンパ節転移があり、HER2陽性の乳癌患者。患者を2群に分け、EC療法とドセタキセルに加えて、トラスツズマブを投与する群(EC-H+D)とラパチニブを投与する群(EC-L+D)に分けた。

 投与は、エピルビシン90mg/m2とシクロホスファミド600mg/m2を4サイクル投与した。続いてドセタキセル100mg/m2を4サイクル投与し、EC-H+D群ではトラスツズマブは初回用量を8mg/kg、その後は6mg/kgを投与し、EC-L+D群ではラパチニブは1250mg/日を投与した。

 主要評価項目はpCR(Miller and Payne基準)、副次評価項目は臨床効果、毒性、pCRと腫瘍バイオマーカーの関連性とした。

 102人がEC-H+D群(50人)とEC-L+D群(52人)に割り付けられた。2群間で患者背景に違いはなかった。

 乳房内のpCR率はEC-H+D群で52.1%、EC-L+D群は25.5%だった(p=0.0065)。また乳房および腋窩リンパ節でのpCR率はEC-H+D群で47.9%、EC-L+D群は23.5%だった(p=0.0112)。

 臨床的効果は、奏効率がEC-H+D群が77.1%、EC-L+D群が64.7%だった(p=0.1762)。また手術については、乳房温存療法がEC-H+D群が58.3%、EC-L+D群が58.8%、乳房切除術がそれぞれ41.7%。29.4%であった。

 グレード3/4の有害事象は、2群間でほぼ類似していたが、下痢はEC-L+D群で13.5%、EC-H+D群では2%だった(p=0.0305)。またEC-L+D群では毒性のために治療中止をする患者が6人だが、EC-H+D群は1人だった(p=0.0551)。

 これらの結果から、Alba氏は「HER2陽性乳癌患者の術前補助療法として、トラスツズマブを用いるEC-H+DはラパチニブのEC-L+Dよりも効果が高く、毒性も少ない」とし、バイオマーカーとpCRの関連性について現在解析中であると話した。