臨床病期がII期またはIII期のHER2陰性乳癌に対し、S-1+ドセタキセルを投与後にFEC療法(5-FU、エピルビシン、シクロホスファミド)を行う術前化学療法の病理学的完全奏効(pCR)率は12.0%で、アントラサイクリン系抗癌剤とドセタキセルの順次投与と同等の有効性が得られることがフェーズ2試験から示された。忍容性も良好だった。結果は、12月6日から10日まで米国サンアントニオで開催されたサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS)で、慶應義塾大学外科の林田哲氏が発表した。

 乳癌の術前化学療法において、アントラサイクリン系抗癌剤とドセタキセルの順次投与は標準的なレジメンの一つであり、HER2陰性乳癌におけるpCR率は10〜20%と報告されている。ただし、ドセタキセルによる有害事象の発現率は低いとは言えない状況である。

 複数の報告では、5-FUとドセタキセルの併用により、ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ(DPD)とチミジンシンテターゼ(TS)のダウンレギュレーションが誘発されることが示されている。
 
 林田氏らは、II期またはIII期の浸潤性乳管癌でHER2陰性の患者を対象として、単施設による非盲検、単群のフェーズ2試験を行い、S-1+ドセタキセルの投与後にFEC療法を行う術前化学療法の有効性を検証した。

 21日を1サイクルとして、S-1は80mg/m2を1〜14日目に、ドセタキセルは40mg/m2を1日目に投与し、これを4サイクル繰り返した。その後FEC療法として、フルオロウラシル500mg/m2、エピルビシン100mg/m2、シクロホスファミド500mg/m2を1日目に投与し、これを4サイクル繰り返した。

 主要評価項目はpCR率、副次的評価項目は臨床的奏効率、病理学的奏効率、有害反応などだった。

 2009年11月から2010年4月までに55人が登録され、50人(年齢中央値53歳)で評価が可能だった。臨床病期はIIa期26人、IIb期17人、IIIa期5人、IIIb期とIIIc期が各1人だった。閉経後の患者は30人、トリプルネガティブの患者は10人だった。

 pCRは6人で得られ、pCR率は12.0%となった。臨床的奏効率は、キャリパーでは82.0%、超音波では76.0%、MRIでは80.0%だった。
 
 臨床的奏効をキャリパーで判定し、CRだった19人のpCR率は26.3%だった。
 
 乳房温存率をみると、腫瘍径が3cm未満だった患者では80.0%、3cmを超える腫瘍では53.3%だった。

 最も多く発現したグレード3以上の非血液毒性は手足症候群で、3人(6.0%)に発現した。グレード3の下痢も1人(2.0%)に発現した。