乳癌発症のリスクが高い閉経後の女性を対象に、早期乳癌発症を予防するためにアロマターゼ阻害剤(AI)のエキセメスタンを投与することは、閉経特異的、健康関連QOLに悪い影響を与えない可能性が明らかとなった。閉経後の女性を対象にエキセメスタンを発癌予防として投与したフェーズ3試験のNCIC CTG Mammary Prevention Trial-.3 (MAP.3)試験の参加者に対する調査の結果示されたもの。MAP.3試験では、乳癌の一次予防としてエキセメスタンを投与すると、プラセボと比べて浸潤癌発生のリスクを65%減少することが分かっている。成果は12月6日から10日にかけて米国サンアントニオで開催されたサンアントニオ乳癌シンポジウムで、カナダQueen'UniversityのHarriet Richardson氏によって発表された。

 NCIC CTG MAP.3試験は二重盲検の無作為化フェーズ3試験。カナダのNCIC CTGを中心に4カ国で実施されており、乳癌発症のリスクが上昇する閉経後の女性を対象として、エキセメスタン25mg/日またはプラセボを5年間投与する。エキセメスタン投与群で浸潤性乳癌の発症を、重篤な副作用なく65%減らすことが報告されている。

 今回はMAP.3試験におけるエキセメスタン投与のQOLに対する影響が調べられた。

 閉経特異的QOLはMENQOL尺度(4つの下位尺度:肉体的、血管運動、心理社会的、性的)で評価し、スコアは1から8まで付けられた。スコアが高いほど症状に苦しみ、QOLが悪いことを示す。

 健康関連QOLはSF-36(8種類の下位尺度:身体機能、日常役割機能、体の痛み、全体的健康感、活力、社会生活機能、日常役割機能、心の健康)でスコアは0から100で評価した。SF-36の身体的側面のQOLサマリースコア(Physical component summary: PCS)、精神的側面のQOLサマリースコア(Mental component summary: MCS)を調べ、スコアが低い方がQOLが悪いこと意味する。

 ベースラインからの差の変化をエキセメスタン群、プラセボ群で調べた。臨床的に意味のあるQOL悪化はMENQOLでは0.5超の上昇、SF-36では5ポイント以上の減少とした。

 評価は投与前、6カ月後、その後1年おきに行われた。ベースラインではエキセメスタン群、プラセボ群ともにMENQOL、SF-36のスコアはバランスがとれていた。

 最初の6カ月が、最もエキセメスタンの投薬を中止した人が多かった。

 評価の結果、MENQOL尺度では、プラセボ群に比べてエキセメスタン群の女性で血管運動症状に統計学的に有意な変化が認められた。しかし血管運動症状の変化は、両群間での臨床的な重要性の範囲には入っていなかった。エキセメスタン投与群では性機能の低下がプラセボ群に比べて認められたが、差は統計学的に有意ではなく、臨床的にも重要ではなかった。SF-36の尺度のうち、体の痛みのみがエキセメスタン群で統計学的に有意な差があったが、両群間で5ポイントを超える差ではなかった。

 全体として、SF-36の身体的側面のQOLサマリースコア、精神的側面のQOLサマリースコアは両群間で差はなかった。