乳癌発症のリスクが高い閉経後の女性を対象に、エキセメスタンを発症予防として投与すると、2年時点で股関節とL1-L4の腰椎の骨密度は臨床的に有意ではないがプラセボ群に比べて減少する傾向が明らかになった。エキセメスタンの発症予防効果を明らかにしたNCIC CTG MAP.3試験での、骨への影響を検証したMAP.3B試験で示されたもの。成果は12月6日から10日に米国サンアントニオで開催されたサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS)で、米Massachusetts General HospitalのP.Goss氏によって発表された。

 NCIC CTG MAP.3試験は二重盲検の無作為化フェーズ3試験。カナダのNCIC CTGを中心に4カ国で実施されており、乳癌発症のリスクが高い閉経後の女性を対象として、エキセメスタン25mg/日またはプラセボを5年間投与する。試験の結果、エキセメスタンの過剰な骨折や骨粗鬆症などの重篤な副作用はなく、乳癌発症のリスクを低下させることが分かっている。MAP.3B試験は乳癌発症高リスク患者でのエキセメスタンの骨への影響をさらに検証したもの。

 MAP.3B試験は、2008年5月から2010年3月までのMAP.3試験から被験者238人を登録した。適格者はMAP.3試験で無作為化される前12カ月以内にDEXA骨密度測定法で調べられ、骨密度のTスコアが−2.0超とされた。年齢中央値はエキセメスタン群が61.4歳、プラセボ群が62.1歳。白色人種が最も多く、エキセメスタン群で91.1%、プラセボ群で91.3%を占めていた。小児期、成人期の受動喫煙者、アルコール摂取を定期的に行う乳癌ハイリスクの患者が多く含まれていた。

 238人のうち123人がエキセメスタン群で、実際に投薬を受けたのは121人。ベースラインの骨密度を調べたのは股関節が118人、L1-L4の腰椎が119人で、2年時点で骨密度変化を測定できたのは股関節が69人、L1-L4の腰椎が70人だった。115人がプラセボ群で、実際に投薬を受けたのは112人。ベースラインの骨密度を調べたのは股関節が112人、L1-L4の腰椎が110人で、2年時点で股関節またはL1-L4の腰椎骨密度変化を測定できたのは69人だった。

 主要評価項目である2年時点の全股関節のベースラインからの骨密度変化の平均は、エキセメスタン群が-1.8%(SDは4.74)、プラセボ群が-0.46%(SDは3.83)。L1-L4の腰椎骨密度変化の平均はエキセメスタン群が-1.71%(SDは4.88)、プラセボ群が0.56%(SDは4.83)だった。エキセメスタン群とプラセボ群間の平均変化率の差は全股関節が1.34%、95%信頼区間の上限値は2.55%、L1-L4の腰椎は2.27%、95%信頼区間の上限値は3.62%で、臨床的には有意ではないがエキセメスタン群で骨密度の減少が見られた。研究グループはL1-L4の腰椎の骨密度変化の95%信頼区間の上限値は、95%信頼区間の上限リミットとしていた3%を超えており、エキセメスタンが有意な骨量減少を引き起こさないとは結論できないにも関わらず、観察された差は非劣性の範囲内だとしている。

 一方、24カ月時点で、全股関節、L1-L4の腰椎ともT-スコアが-2.5を下回る骨粗鬆症と診断された患者は両群ともにいなかった。投薬中の骨折は全部位でエキセメスタン群が7人(5.8%)、プラセボ群は2人(1.8%)で、統計学的に有意な差はなかった(p=0.17)。脆弱部位の骨折はエキセメスタン群で1件認められた。